Kyashは12月23日、法人向けの送金サービスを開始した。企業が、業務委託先や取引先に報酬などを送るプラットフォームとしての活用を目指す。まずはデリバリーサービスmenuに提供し、menuは配達員への報酬支払いに利用する。
特徴は、銀行を介さずにKyashのネットワークで送金が完了する点だ。従来、報酬の支払いは銀行振込を使うのが通常だったが、振込手数料が高く頻繁な支払いは負担になっていた。
menu側がKyashの口座にあらかじめ入金しておき、配達員がmenuのアプリで払い出しを依頼すると、配達員のKyash口座に即時に入金される。配達員は携帯電話番号を入力するだけでKyashとmenuのアカウントがひも付けられるなど、使い勝手に配慮した。
コストは「銀行振込を使うのに比べて10分の1以下、数十円程度」(Kyashの鷹取真一CEO)と低い。安価で、リアルタイム、そしてオンデマンドの仕組みなのが特徴だ。Kyashはプリペイドカード型の決済機能を備えており、入金されたらVisa加盟店で利用できるほか、220円の手数料がかかるもののセブン銀行のATMで現金を引き出すこともできる。
デリバリーサービスなど、配達員への報酬支払いが頻繁に発生する事業では、こうした支払い方法が求められていた。配達員は不定期で配達を行っており、配達後すぐに報酬を受け取りたいニーズが高いからだ。Kyash法人送金は、フリーランス向けの請求書買取サービス(ファクタリング)を行うyup(東京都港区)や、イラストレーターなどに有償で作品制作のマッチングを行うSkeb(東京都千代田区)にも導入が予定されており、企業からの報酬支払い方法の1つとして広がる可能性がある。
「即時払いは、サービス運営企業にとっても、配達員の獲得にもメリットがある。遅かれ早かれ、そういう世界になっていく」と、鷹取氏は話す。
Kyashは2020年9月に資金移動業の登録を行い、送金事業の展開を模索してきた。今回の法人送金の一般公開以前にも、大規模な報酬支払いを実施し、自信を深めた。実は、東京オリンピックのボランティアへの交通費相当金の送金にはKyashが使われた。7万人にのぼるボランティアにはKyashのアプリとプラスチックカードが配布され、手当はKyashの仕組みを使って支払われた。
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