世界初! 道路も線路も走る「DMV」が登場して、何が変わろうとしているのか:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/8 ページ)
2回目で徳島県の英断を歓迎し声援を送った。3回目も「迷うな、おもしろいでいいんだよ」と呼びかけた。この記事が高知県東洋町観光振興協会の会長、福井宣博氏(当時)の目にとまり、高知県の観光振興アドバイザーに推薦していただいた。
ここから高知県東洋町と徳島県海陽町の合同プロジェクト「あさチェン推進会議」に参加させていただき、何度か現地に赴いた。4回目の記事は会議の出席と現地取材を元に書いている。
当時は沿線関係者一同、不安だったようだ。DMVの導入は地元の要望ではなく、徳島県知事と県庁の次世代交通課の主導で行われた。次世代交通課はDMVに限らず、地域バスから新幹線誘致、燃料電池バスなど広範な交通整備を計画する部署だ。
積極的な県庁に対して、地元では鉄道への関心が薄い。そもそも当時、阿佐海岸鉄道は定期券が一枚も売れていなかった。トップダウンで「県が主導でDMVを導入する。観光面でがんばってほしい」といわれてもピンと来ない。
「鉄道ファンから見てDMVはおもしろいですか」「DMVが走れば鉄道ファンは来てくれますか」これを何度も聞かれた。もちろんどちらも「イエス」だ。しかし、地域に魅力がなければ、鉄道ファンも観光客も、DMVに乗るだけで帰ってしまう。沿線に恩恵がない。
阿波海南駅のモードインターチェンジ。撮影スポットが用意されている
阿波海南駅の停留所。標識はサーフボード型。沿岸は日本でも有数のサーフィンの名所
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。
- 新幹線だけじゃない! JR東海の「在来線」はどうなってるのか
JR東海といえば「東海道新幹線を運行する会社」「リニア中央新幹線を建設する会社」というイメージが強い。報道も新幹線絡みが多い。しかしほかのJR旅客会社と同様に在来線も運行している。そして「新幹線ばかり優遇して、在来線の取り組みは弱い」という声もある。本当だろうか。
- 世界初の乗りもの「DMV」 四国の小さな町は“新しい波”に乗れるか
徳島県が2020年度、世界初のDMV(デュアル・モード・ビークル)による定期営業運行を始める。その舞台は阿佐海岸鉄道だ。沿線にはサーフィンで有名な海岸などもあり、観光の魅力もある。DMVが新たな観光資源になることを期待したい。
- 徳島県のDMV導入は「おもしろい」で突っ走れ!!
JR北海道が開発し実用化できず、あまたのローカル鉄道が手を伸ばして撤退したDMV(デュアル・モード・ビークル)を、徳島県が実用化する。しかし現地に行ってみると「3年後に実現したい」という割には盛り上がっていない。
- 「DMV」計画実現へ、徳島県はホンキだ
JR北海道が開発し、トヨタ自動車までを巻き込んだ「DMV(デュアル・モード・ビークル)」が徳島県で実用化されそうだ。わずか8.5キロメートルの第三セクター鉄道を大改造する起死回生策。目指すは約38キロメートル離れた室戸岬だ。
- ローカル線の救世主になるのか――道路と線路を走るDMVの課題と未来
山形県のローカル線を活性化するため、DMV(デュアル・モード・ビークル)を導入する動きが始まった。しかし、開発元のJR北海道もいまだ実用化せず、今まで取り組んできた路線や自治体にも、その後の動きはない。そこで国土交通省が主導して取りまとめることになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.