全員に恩恵のある「駅のバリアフリー」、都市と地方でこんなに違う杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)

» 2022年01月21日 14時46分 公開
[杉山淳一ITmedia]
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「バリアフリー加算運賃」はすべての人に利点がある

 都市部のバリアフリー推進のため、いわゆる「バリアフリー運賃加算制度」が12月28日に発足した。鉄道会社がエレベーターやエスカレーター、ホームドアなどの整備費用とする場合に、運賃の値上げを認める。

 携帯電話や固定電話に加算されている「ユニバーサル料金」に似た考え方だ。ただし、整備計画を国に提出し、適切な加算金額を設定し、整備完了後は加算を終了する。恒常的な値上げは許さない。

 この考え方は、鉄道事業では前例がある。新路線の建設運賃の調達手段、路線の大規模改良工事にあたって先行的に対象区間の運賃に加算する。新路線の建設区間については、京急電鉄空港線の天空橋〜羽田空港第1・第2ターミナル駅で50円加算、京成電鉄本線の京成成田駅〜成田空港駅で140円の加算などが知られている。

 有名な理由は、増収金額が建設費に達した、あるいは達するメドが立ち、値下げが行われたからだ。鉄道運賃の値下げはとても珍しいから話題になる。加算が終わって本来の運賃に戻るだけだけれども。

 新線建設関連の加算運賃はほかにも、JR北海道千歳線、JR西日本の関西空港線、南海電鉄の空港線、JR九州の宮崎空港線など全国24路線の事例がある。大規模改良工事は東武鉄道伊勢崎線や小田急電鉄本線の連続立体化および複々線化、東急電鉄目黒線などの改良工事などで加算運賃が認められた。現在は認定事業がすべて終了している。

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