経営改善計画書は、原則として提出する金融機関のフォーマットに合わせて作成します。使用するフォーマットが決まれば、後は先ほどの「5つのポイント」に気を付けて書いていくだけです。
以下、実際に5つのポイントをどのように改善計画書に盛り込むのか、そのコツをパートごとに解説します。
なお、中小企業庁のHPには経営改善計画書のサンプルが掲載されています。初めて経営改善計画書を作成する場合には、参考資料として活用できるでしょう。
前置きのパートは、自社のことを知らない人が読んでも分かるように書きましょう。お付き合いのあるメインバンク向けだとしても、ふだんは面識のない本部の人が読むことを前提に書きます。
要となるのは、ビジネスモデル俯瞰図です。おカネやモノの流れが分かるように、自社と関係会社を図で表します。主要な取引先との取引額や売上、その推移や構成比、事業別・商品分野別の売上や推移を書くことで改善策が浮かぶこともあります(図表2)。
現状分析のパートは、客観的に記載することを心掛けてください。同業他社の経営数値と比較するのも有効です。
経営不振であっても、原因を「景気のせいだ」と責任転嫁するのは心証がよくありません。景気減退に対応できなかった理由を書くようにしてください。
金融機関によっては、SWOT(強み・弱み・機会・脅威)のフレームワークで環境分析をするように指定することもあります。自社の特徴については客観的につかみにくいこともありますが、その場合は、取引先に自社の特徴を尋ねるとよいでしょう。
経営の一番のモノサシは「売上」です。それは、売上こそが市場の評価であるからです。
なぜ、売上が上がらないのか。顧客のニーズに応えられないのか、商品に競争力がないのか、営業のかけ方が甘いのか。問題点の抽出では、売上につながる問題を優先的にリストアップします。
問題を整理して、課題を3点程度に絞り込みます。例えば「商品はよいものの納品上のトラブルが多く、営業担当がクレーム処理に追われて営業活動に時間を割けていない」「市場縮小のなかで、市場に合致した新たな商品の開発をせず、新規市場に進出もしなかった」など、まずは売上に直結した課題を2つほど挙げてください。続いて、利益率や販管費の課題を挙げます。
最終的に「売上・利益につながる改善策を策定する」ために行うのが現状分析です。課題を絞り込めなかったら、分析のやり直しです(図表3)。
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