変革の財務経理

金融機関に評価される「経営改善計画書」の書き方NGポイントは?(5/5 ページ)

» 2022年02月03日 07時00分 公開
[企業実務]
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「絵に描いた餅」にしないために

 経営改善計画書は融資のためだけにつくるものではありません。経営改善計画書は、会社が現在の状況Aから求めるべき状況Bへ移行するための指針です(図表6)。

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 社長や経理部門が一方的に作成して終わりではありません。少なくとも各部門のトップを巻き込んで作成・実行する必要があります。この計画を社内で共有し、努力の方向性をそろえることで、よりよい結果が期待できます。経営改善計画書は、従業員一人一人がやるべきことを明確にして、必ずゴールに到達するための重要なツールでもあるのです。

 また、経営改善計画書の骨子を「当社の活動方針」として1枚のシートにまとめておけば、取引先などの関係者に対して協力を依頼するときのツールにもなります。

 繰り返しになりますが、経営改善計画書は金融機関にとって、融資の可否の判断材料となるものです。金融機関の焦点は、「返済可能か否か」です。それは計画の数字をチェックすることではなく、実現性の高い計画なのかを判断することなのです。パート3の改善策で、数字の根拠をしっかり示す必要があります。

 なお、計画の作成後は、すぐに着手してください。「すでに実行しており、効果が出始めています」と伝えることで、より評価が高まります。情熱は文章だけではなく、取り組む姿勢でも示すことが大切です。

 経営改善計画書は、あくまでも計画です。結果は上振れすることも下振れすることもありますが、それについて金融機関が批判することはありません。ただ金融機関は、本気で実行しているかを見ています。

 計画をつくっただけで実行しないような企業には、次の融資は厳しくなるでしょう。「仏つくって魂入れず」にならないよう、強い意思を持って実行してください。

 経営改善計画書は「今後数年間、腰を据えて努力する」という社内外への決意表明です。しっかりした計画を策定し、「求めるべき状況」に到達できるよう努力してください。

著者:古橋 善規(ふるはし・よしのり) 中小企業診断士

2012年、中小企業診断士登録。名古屋市を中心に経営不振の中小企業をサポートしている経営コンサルタント。経営改善計画書策定の分かりやすい指導にも定評がある。

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