函館本線「山線」並行在来線として2例目の廃止、鉄道を残す方法は?杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/7 ページ)

» 2022年02月04日 09時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 並行在来線の処遇に関する報道が相次いだ。1月31日、西九州新幹線の並行在来線、長崎本線の肥前山口〜諫早間について、国土交通省からJR九州に対して第二種鉄道事業を許可した。

 1月28日には根室線富良野〜新得間の沿線自治体がバス転換の方針を確認した。さらに2月3日、共同通信は北海道新幹線の並行在来線、函館線の長万部〜小樽間について、余市町と小樽市を除く7自治体がバス転換を受け入れる意向と報じた。北海道の鉄道存続は厳しい状況になっている。

 ところ変わって1月27日に「相鉄・東急直通線」の開業予定時期が2023年3月と発表されている。鉄道は人口密度の高い場所で機能する道具だとあらためて感じさせる。都市では投資に見合った効果を期待できるけれども、地方鉄道の維持はいまや過剰投資であり、地域の経済力では支えきれない。鉄道は交通の道具としてはカネがかかりすぎる。

 ……というわけで、このところ鉄道好きにとっては喜んだりがっかりしたりと忙しかった。バス転換方針が固まりつつある長万部〜小樽間は「山線」と呼ばれ、起伏の富んだ地形、ニセコアンヌプリ、羊蹄山(ようていざん)、森林など車窓もうるわしい。それだけにバス転換は残念だけれども、鉄道は遊具ではないから、地域の判断を尊重するほかない。

函館線長万部〜小樽間はバス転換が濃厚になっている(出典:北海道、函館線(函館・小樽間)のあり方の検討について
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