選手専用ガムは硬いことのほかに、市販のガムには見られない点がもう1つある。糖衣(とうい)を使っていないことだ。糖衣を使わなかった理由を、今井氏は次のように明かす。
「ガムに糖衣があると、糖衣がないものと比べて食感の変化が生まれやすくなります。食感に変化が生まれると噛むことのリズムが変わってきてしまうのですが、中村選手などは『リズムを一定に保ちたいからガムを噛む』と言うほど、スポーツ選手の中にはリズムを一定に保つことを大切に考える人がいます。ガムを噛みながら一定のリズムをキープするには一定の硬さを維持することのほうが望ましいことから、食感に変化を生じさせてしまう糖衣を使わないことにしました」
個包装に2個封入したのも、糖衣がないことが理由になっている。ボトル容器に入れて保存すると中でくっついてしまったり潰れてしまったりするからだ。このような問題が起きないようにするために採用したのが個包装であった。パッケージデザインは、ホームバージョンとビジターバージョンの2パターンを用意している。
「噛むこと研究部」の発足は18年11月で、球団への選手専用ガムの提供が始まったのは19年シーズンから。短期間でつくり上げた印象があるが、イチから開発したものではなく、これまでの知見を生かしてつくり上げた。今井氏は「私たちはこれまでにもスポーツに関わるガムをつくった経験があります。選手と話をする中で『硬さを一定に保ちたい』というガムのニーズが把握できたので、これまでの知見を生かして開発しました」と話す。
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