「働かないおじさん」を生む、3つのズレと解決方法「働かないおじさん問題」のニュータイプ化(4/4 ページ)

» 2022年02月28日 07時00分 公開
[難波猛ITmedia]
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CANの不足

 CAN(能力やスキル)の不足は、一般的には新入社員や中途入社者、配置転換した社員に発生しますが、最近は技術の進展や戦略変更に伴い、経験豊富なベテラン社員でも能力的についていけないケースも増えています。

 ベテラン社員が能力的に不足する場合、単にOJTなどの教育だけでは解決しない場合があります。

本人の原因

 「変化対応力」と「学習意欲」の減退。

 意欲は高いがスキルや知識が不足している場合は、教育や本人の努力で解決しやすいです。一方、面倒くさい、失敗が怖い、今までのやり方に固執したいなど「変化や学習自体に抵抗感がある」場合、まずは「変化の必要性」「変化しないことのリスク」を上司や人事が伝えていく必要があります。

会社側の原因

 注意指導の不足が挙げられます。具体的には、成長してほしいこと、改善が必要なことを伝えていない場合などが当てはまります。

 また、本人の興味や強み、またはキャリアを考慮せずに業務や職務の配置を行う「不適材不適所」も、本人に興味がないことを学ばせる(やらせる)ことになり、学習意欲を低下させやすくなります。

「この人が問題」ではなく「ズレが問題」

 上記のように、ミドルシニアの不活性は「本人が全面的にダメ」ということではなく「何かにギャップやズレが生じている」場合が多いので、本人が書いた「WILL-MUST-CAN」を基に話し合うことが効果的です。

 ズレが生じる原因は、本人側に問題がある場合もあれば会社側にある場合もあります。「成果が出ないのは、本人の責任だ」などと上司が一方的に決めつけると、建設的な問題解決につながりません。

 問題を解決するためには、本人と上司(または人事)が「お互いに改善できることがあるかもしれない。一緒に考えよう」と謙虚かつ真剣に対話する姿勢が大切です。

 その上で「何がギャップなのか」「ギャップをどう解消するか」「どのような状態になりたいか」について、本人と上司で共有しながら検討し、人事が両者を支援する3者の連携が、「働かないおじさん」を減らすことにつながります。

著者:難波猛(なんば・たけし)

マンパワーグループ株式会社 ライトマネジメント事業部 シニアコンサルタント

1974年生まれ。早稲田大学卒業、出版社、求人広告代理店を経て2007年より現職。

提案営業、研修講師、コンサルタントとして日系・外資系企業を問わず2000名以上のキャリア開発施策、人員施策プロジェクトにおけるコンサルティング・管理者トレーニング・キャリア研修等を100社以上担当。セミナー講師、官公庁事業におけるプロジェクト責任者も歴任。プロティアン・キャリア協会認定アンバサダー。

著書に、『「働かないおじさん問題」のトリセツ』『雇用調整の考え方と進め方』『ネガティブフィードバック』『「働かないおじさん」は、なぜ「働けない」のか?』がある。

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