内閣府の令和3年(2021)版少子化社会対策白書によると、出生数は以下グラフのように推移しています。
21年時点で50歳だった人が生まれた1971年の出生数は約200万人。それに対し、21年時点で35歳だった人が生まれた86年の出生数は約138万人です。30%以上も減少しています。厚生労働省の発表では、20年の出生数は約84万人と100万人を切りました。出生数は、今も年々右肩下がりに減少を続けています。
71〜74年の第2次ベビーブーム世代の出生数のピークは、73年生まれの約209万人です。その後は減少へと転じていきますが、第2次ベビーブーム世代が50代の間は、転職者に占める50代の比率も高い水準を維持すると推察されます。
50代の転職者比率が増える背景には、経営環境の変化も影響していると考えられます。
AIやメタバースなど、技術革新に伴うゲームチェンジを起こすほどの大きな変化もあれば、SDGsやDXの推進、コロナ禍との戦いなど、日々の業務の中で対処を迫られるものもあり、激しい環境変化が間断なく連なって発生しています。
それらの変化は、うまく捉えればチャンスにもなり得る反面、対処を誤ると経営危機を招くほどのピンチにもなり得ます。そんな、攻めと守りを同時に強化することが求められる一方で、働き方改革も推進し労働時間は減らさなければなりません。いくつもの荒波が押し寄せている経営環境の中で、生産性を高めながら効率的にかじ取りしなければならないということです。
経営を取り巻く環境がそのような状況だと、会社としては人材を一から育成するようなゆとりは持てません。必然的に即戦力性の高いベテラン人材へのニーズが高まることになります。
最後にもう一つ、50代の転職者比率が増える要因として挙げておきたいのは、50代人材を採用するコストを回収できる期間が延びていることです。50代人材を採用する投資対効果が高まっている……といい換えてもよいかもしれません。
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