各銀行はブロックチェーン技術の研究を進めており、いずれデジタル通貨を投入すると見られる。そのときに、各社バラバラで互換性のないデジタル通貨ではなく、共通のデジタル通貨を発行することを目指したのがDCJPYだ。
「デジタル通貨を銀行がバラバラで発行したら、それを交換する仕組みが必要になる。そうならないように先にプラットフォームを作りましょうというのがDCJPY」(時田氏)
DCJPYが、銀行振込対比で“データ付加”や“プログラム可能”をうたうのは、いわゆる仮想通貨とは違い、銀行預金口座のブロックチェーン版と位置づけられるからだ。極論的にいってしまえば、DCJPYとは銀行の勘定系システムをブロックチェーン上に実装したものだともいえる。
実はここに課題がある。銀行側からすると、勘定系のような基幹のシステムをそんなに簡単に安定して動かせるのか? という疑問を持つからだ。一方で、仮想通貨側からすると、「既にやっている技術だ。しかもパーミッションレス(参加ノードを制限しないパブリック型)でやっている」(時田氏)という意識の違いがある。
2022年には実証実験が始まり、この結果を見ながらDCJPYの実現へのスケジュールも決まっていく。銀行業界と仮想通貨業界の、スピード感とガバナンス感の溝はどこまで埋まるか。成否はそこにあるといえるのかもしれない。
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