AmazonやNetflixなどのサブスクリプションサービスは消費者の生活を大きく変えた。現状は、サブスク企業の勢力図は固まりつつある。しかしそんな中でもサブスクサービスに乗り出す「後発企業」もある。すでにできあがっている構図に、いかにして分け入ろうとしているのか。その戦略に迫り、後発サブスク企業の生き残り戦略を分析する。
新型コロナウイルスの感染拡大の功罪において数少ない「功」の部分がある。それはWeb会議システムが一気に普及した点だろう。
特に対面でのコミュニケーションが中心だった日本で、Web会議システムは新しい働き方の選択肢の1つになった。MM総研が2021年10月に発表した「コラボレーションツール利用状況調査」によると「最も利用するWeb会議システム」について「Zoom」と回答したのは60.1%と過半数を占めた。
次に「Microsoft Teams」が21.4%、「Google Meets」が7.9%、「その他」が10.6%で、上位3つが市場を独占している状況だ。
同調査では「Web会議に望む機能」については「議事録作成/文字起こし機能、字幕機能」が47.3%で最も多かった。この文字起こし機能を搭載し、Web会議とチャット機能を1つにさせた後発のサブスクリプションツールが「Parque(パルケ)」だ。
同ツールを運営するパルケ社(東京・渋谷)は20年6月に創業した。文字起こし機能のほかに翻訳機能を実装するなど、これまでになかった付加価値のある機能を付けることによって既存のWeb会議システム業界に新しい風を吹かそうとしている。既存のWeb会議システムよりも中小企業を想定ターゲットに据え、情報共有ツール、コラボレーションツールとしての側面を強く押し出す格好だ。
今後の生き残り戦略について、連続起業家であるパルケの鎌田大輔社長にインタビューした。
――パルケの創業が2020年ですから創業準備をしているときにコロナが広がった形だったと思います。Zoomの利用が広まり、先に市場を取られた気持ちにはなりませんでしたか?
起業の準備をしているときに、どんどん世の中が変わって、コラボレーションツールが出てきた感じでした。ただ、コロナがなかったら「これからはいつでも、どこでも働ける社会になります」とWeb会議の提案をしても、相手からは「どこの世界の話?」といわれていた気がするのです。
あまりにも突飛(とっぴ)なところに行き過ぎると、誰もついてこないとは思っていました。
――コロナ禍でWeb会議システムはかなり浸透したといえると思います。一方、後発の貴社のツールは主なターゲットを他社とは異なる層に想定していますね。どんな戦略を描いていますか?
ZoomやSlackなどたくさんのサービスが出てきましたが、コロナの直前に関しては、どちらかというとアーリーアダプター層が使っているツールでした。特にSlackは高機能ですが、プロダクトの学習が必要と思います。
そんな状況下でコロナが来て、働く場所の分散、コミュニケーションの変化など状況が変わりました。皆が何となく「ちょっと使うのが難しいな」「その場しのぎで使っています」と思いながらもツール自体は広まっていきました。ただ地方では、まだまだ浸透してないところもあります。
今後求められるのは、「Web会議やチャットが難しそうだな」と思っているマジョリティー層に対して、誰にでも分かりやすいUI(ユーザーインタフェース)、UX(ユーザーエクスペリエンス) を備えたツールなはずです。
人々が便利さを実感したがゆえに「もう少し分かりやすいモノがない?」という点を当社がついていきたいのです。地方ではまだまだコラボレーションツールの浸透率が低いのでマーケットの下地は広いと考えています。
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