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» 2021年11月18日 12時43分 公開

ヤマト運輸が舵を切るデータ・ドリブン経営 “DX請負人”の中林紀彦執行役員を直撃再配達をなくせるか(1/4 ページ)

ヤマト運輸が顧客サービスを改善しようと、宅配に関する膨大なデータを駆使したデータ・ドリブン経営に舵を切っている。その仕掛人であるデジタルデータ戦略担当の中林紀彦・ヤマト運輸執行役員を直撃した。

[中西享,ITmedia]

 ヤマト運輸が顧客サービスを改善しようと、宅配に関する膨大なデータを駆使したデータ・ドリブン経営に舵を切っている。

 ヤマト運輸の宅配についての基本データをみてみると、2020年度(20年4月から21年3月まで)の取扱個数は約20億9000万個、シェアは43.8%で首位。2位の佐川急便(28.2%)、3位の日本郵便(22.8%)を大きく引き離している。

 約5000万人の個人会員と、生産者、店舗など約130万社の法人会員が同社の宅配サービスを主に使う。21年3月期の決算は、コロナ禍による巣籠り需要を契機としたEC市場の拡大による宅配の増加もあって売上高約1兆6900億円、経常利益約940億円の増収増益を確保。22年3月期も増収増益を予想している。中期経営計画の最終年度である23年度(24年3月期)は売上高2兆円、経常利益1200億円を見込んでいる。

 ヤマトは、宅配の荷物がコロナ禍に関係なく堅調に伸びると予測し、今後の拡大に備えDXを重視した方針を前面に打ち出そうとしている。その仕掛人であるデジタルデータ戦略担当の中林紀彦・ヤマト運輸執行役員を直撃した。

中林紀彦(なかばやし・のりひこ)1998年にアルプス電気に入社、2002年に日本IBMに入社、15年にオプトホールディング(現、デジタルホールディングス)データサイエンスラボ副所長、16年SOMPOホールディングスに入社しチーフ・データサイエンティスト、19年ヤマトホールディングスに入社し社長室(デジタルイノベーション担当)シニアマネージャー、21年4月からヤマト運輸執行役員。国立大学法人筑波大学 システム情報系客員教授。データサイエンティスト協会理事。富山市出身。50歳

データ基盤ができていなかった

――中林さんは、ヤマトには2年前にDX改革の中心メンバーとしてスカウトされ入社したそうですが、入ってみての感想はどうでしたか。

 宅配で膨大な荷物を取り扱っている会社にしては、データ基盤ができていないと率直に思いました。そこで私は、20年1月に発表したヤマトグループの経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」のなかで、デジタルデータ戦略の考案に携わりました。このプランは宅配便のDX、ECエコシステムの確立、法人向け物流事業の強化に向けた3つの事業構造改革と、グループ経営体制の刷新、データ・ドリブン経営への転換、サステナビリティの取り組みの3つの基盤構造改革からなっています。

 まずはデータを分析した結果を活用するデータ・ドリブン経営に転換することが目下の目標でした。

――具体的にはどういう点をデジタル化したのですか。

 短期的には、あらかじめ荷物の量を3カ月前に予測し、それに合わせて人や車の配置ができるようにしました。AIによる機械学習を使えば3カ月先の予測ができるので、1カ月前に決めなければならない人員配置も最適化できます。また、1個の荷物を運ぶのにどれだけの人員や車などのリソースが必要なのかを可視化することによって利益率の改善にもつながります。

 これまでは荷物のデータを2〜3時間ごとにバッチ処理をしていたので、今現在の荷物がどこにあるかを把握できていませんでした。これはシステムの問題もあってできなかったのですが、現状これを改善しようとしています。

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