――宅配業界では、以前から再配達問題が大きな課題になっています。再配達の時間的ロスを減らすため、「置き配」を含む利用者の受け取り方の多様なニーズにも応えているようですが、具体的にはどのように便利になるのですか。
受け取るお客さまの利便性向上には注力してきました。まず、利用者の生活導線に沿って受け取れるように、コンビニやオープン型宅配便ロッカーを拡充するなど受け取れる拠点の数を増やしています。さらに受け取りの時間も、直前の変更に対応できるようにするなど改善しています。
昨年6月からは、EC事業者向け新配送商品「EAZY(イージー)」の提供を始め、ファッション関係などを中心にB2C向けの商品を配達しています。EC利用者、EC事業者、配送事業者の全てをリアルタイムなデジタル情報でつなぐことで、購入、配送、受け取りの利便性、効率性を徹底して向上させ、ECの持続的な成長を実現する「ECエコシステム」の確立に向けた配送商品です。
また、英国のドドル社と業務提携し、送られた商品をスーパーやドラッグストアで受け取れる、生活導線上に沿った受け取り拠点を拡大するサービスを昨年11月からスタートさせました。導入店舗は「Click & Collectシステム」の専用端末を設置するだけで、早くかつ簡単にサービス提供を開始できます。
このように受け取り方法を利用者側で選べるようにすることで、受け取るまでのストレスを減らせると思います。こうした対策を講じることで、結果として再配達の時間的ロスをできるだけ減らすことが可能になります。
――宅配効率を上げるために、配達ルートなどはどうやって決めているのですか。
配達当日の朝に行う荷物の積み込み具合をみて、AIが最適の配達ルートを出してくれるので、ドライバーはこれに従って配達ができます。将来的には渋滞などで配達時間が遅れそうになると、電話やメールで利用者に知らせることなども考えられます。ラストワンマイルの部分の最適化は改善の余地があると思っています。
――ヤマトとしてはデータ的に見て、コロナ禍が終わっても宅配需要は堅調に伸びると予想していますか。
EC比率が上がってきているので、元に戻ることはないと考えています。家にいても何でも届くことを多くの人が体験しているので宅配需要は増えます。20年4〜6月はコロナ禍で巣籠り需要が増大し、企業も個人もECの利用が拡大しました。今後、新しい生活様式になっても、宅配は今後も伸びていくとみています。こうしたことに対応するため、サプライチェーンの川上から川下まで効率化しようとしています。
――20年3月にヤフーと業務提携をしましたが宅配分野で具体的にはどういう連携をするのでしょうか。
ヤフーのサイトに出店しているお店の商品の配達を請け負うだけでなく、荷物の発送作業から倉庫の利用も含めてヤマトが行うことにしています。
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