インフルエンザや風邪が撲滅されていないように、新型コロナが地球上から完全に消え去るとは考えにくい。ということは今の感染者数が落ち着いてもまた風邪の季節になれば、やれステルスだ、やれ全く新しい変異種だと感染が拡大して、お亡くなりになる方が一定数でるということだ。
日本はコロナ前に肺炎で年間10万人、インフルエンザで1万人もの人が亡くなっていたが、コロナ禍になってからはその事実はどこかへスコーンと飛び去って、コロナ肺炎で亡くなることは社会全体で協力をして「ゼロ」に抑えることが「新しい常識」となっている。ということは、われわれは自分のためではなく、「誰かの大切な人の命を守るため」にも、これからも公の場ではマスクをつけ続けなくてはいけないということである。
それをさらに揺るぎないものとするのが、「withマスク」関連ビジネスの盛り上がりだ。
日本という国では一度、新しい産業、新しいビジネスモデルが誕生して、それなりの規模に成長をしてしまった場合、それがどんなに社会に悪影響を与えても、どんなに科学的合理性がないものだと分かっても、止めることができない。その産業やビジネスモデルで生計を立て、家族を養う人々を路頭に迷わせないように、とにかく「存続」をさせなくてはいけないということになりがちなのだ。
その筆頭が、原発である。
福島第一原発事故後、「原発をやめたら日本のエネルギーはおしまいだ」なんてことを叫ぶ人たちがいたが、現実問題として今は発電量の中で原子力は数%に過ぎない。「だから電力が逼迫するのだ」と経団連は怒るが、最大の原因は、西側諸国が仕掛ける「脱炭素キャンペーン」に逆らえなくて、火力発電を十分にやっていないからだ。つまり、エネルギー的には原発をやめても特に大きな問題はないのだ。
にもかかわらず、なぜこうも必死になって原発、原発と騒ぎ続けているのかというと、この産業を「なし」にしてしまうと、全国の原発で働く人たち、関連企業、周辺産業でメシを食っている人たちが仕事を奪われてしまうことが大きい。
日本原子力産業協会の「原子力産業界の現状」(2021年4月14日)によれば、原子力関係売上高は約1.7兆円で、原子力関係者従事者は約8万人となっている。その中で、発電所工事会社従業員数は約3万3000人だ。
地震大国・日本であれほど深刻な事故を起こして、すさまじい被害を出してもなお、原発のある快適な生活を実現しようという「with原発」関連ビジネスが活況なのは、これだけの人々の生活と家族、そして人生を支えているからなのだ。
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