吉野家は、飽和する国内市場でなぜ郊外と女性に目をつけたのか?妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/7 ページ)

» 2022年05月11日 07時00分 公開
[妄想する決算ITmedia]

吉野家HD 赤字の主要因は、はなまるうどん

 それでは、現状を確認していく前にまずはここ数年の業績の推移を見ていきます。

売り上げはコロナで減少

 売上高はコロナ以前は右肩上がりで成長を続けていましたが、2021年2月期には、コロナの悪影響を受けて21.2%減の1703.4億円となっています。

利益はデコボコ、コロナ禍で大赤字に

 利益面を見てみると、こちらはコロナ以前から増減を繰り返しています。

 店舗数の推移としては次のように増加が続いています。

  • 2017年2月期:3081店舗
  • 2018年2月期:3191店舗
  • 2019年2月期:3421店舗
  • 2020年2月期:3471店舗

 売り上げに関しては店舗の増加による影響が大きく、利益面はそれに比例していたわけではないということですね。

 ちなみに営業利益率は次のように推移していて、低水準になっています。

  • 2017年2月期:1.0%
  • 2018年2月期:2.0%
  • 2019年2月期:0.1%
  • 2020年2月期:1.8%

 牛丼といえば価格競争の代名詞ですから、利益率が低いビジネスになっているんですね。

 一方で、これだけ大規模にチェーン展開して規模の経済を働かせないと利益が出にくいということですから、参入障壁は非常に高く競合が増えにくいと考えられます。

 そして21年2月期は、営業利益面でも53.3億円の赤字と非常に大きな赤字になっています。

 比較的テークアウトの多い業態の吉野家HDですが、意外とコロナの影響は大きく出ています。というのも業績悪化の要因として「はなまるうどん」の影響が大きいからです。テークアウトも少なく都心部や地下店舗も多かったはなまるうどんが、コロナ禍で非常に大きなダメージを受けたわけです。

 今回は詳しくは触れませんが、牛丼業態自体がこれほど大きな業績悪化となっていたわけではないので、興味がある方はぜひ調べてみて下さい。

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