吉野家は、飽和する国内市場でなぜ郊外と女性に目をつけたのか?妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(3/7 ページ)

» 2022年05月11日 07時00分 公開
[妄想する決算ITmedia]

京樽売却で減収も、大きく黒字転換

 それではここ数年の業績の推移が分かったところで、直近の状況を詳しく見ていきましょう。今回見ていくのは22年2月期の通期の決算です。

黒字転換を果たし、経常利益や純利益は非常に大きな黒字に

 売上高は9.8%減の1536.0億円、営業利益は53.3億円の赤字→23.6億円の黒字、経常利益は19.6億円の赤字→156.4億円の黒字、純利益は75.0億円の赤字→81.1億円の黒字となっています。

 営業利益でも黒字化していますし、経常利益や純利益は非常に大きな黒字となっています。

 会計期間は違うものの、前回見たサイゼリヤは営業利益ベースでは赤字が続いていました。やはり比較的テークアウトの多い業態である牛丼の方が、対コロナという意味では強さがあったのでしょう。

 ちなみにコロナの影響がほとんどなかった20年2月期の決算と比較してみると、売上高は29.0%減、営業利益は39.8%減となりつつも、経常利益は364.3%増、純利益は1038.3%増というコロナ前をはるかに上回る利益水準を記録していることが分かります。

131億円の助成金収入

 その要因は、サイゼリヤと同様で時短協力金などの助成金収入です。これが131.2億円ほどあります。店舗数の多い飲食チェーンは、やはり助成金で好調となっています。

売上高減少の理由は京樽の売却。それを除くと実質増収

 ちなみに売り上げは前年比でも減少していますが、その要因は京樽という寿司業態をスシローに売却したことが要因です。そのため、その影響を除くと実質的には増収だとしています。

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