実際に吉野家HDの主力事業である(1)吉野家(2)はなまる(3)海外事業の業績の推移は次のようになっています。
- 吉野家:売上高1059.7億円(1.3%増) 利益72.7億円(75.5%増)
- はなまる:売上高212.6億円(8.5%増) 利益30.4億円の赤字→13.1億円の赤字
- 海外:売上高224.9億円(15.2%増) 利益70.9億円(1133.4%増)
となっていて全事業とも増収ですし、はなまるは赤字続きとなっているものの業績は回復傾向にあります。
厳しい状況が続くはなまる
各事業の既存店の売上高をコロナ以前の2019年2月期と比べてみると、やはりはなまるうどんが最も厳しい状況です。
- 吉野家:92.1%
- はなまる:70.8%
- 海外(米国):111.6%
- 海外(中国):90.5%
- 海外(アセアン):77.0%
最初にも書きましたがテークアウトが少なく、テレワーク化が進む中で都心部の店舗がオフィスの飲食需要を取れなかったことや、地下店舗も多くコロナ禍で避けられたことが考えられます。
一方で吉野家事業はコロナ前比で9割という状況だったようです。テークアウトも多く一定の需要は保たれていたようですね。
また海外では米国に関してはコロナ前を大きく上回るような水準となっています、経済活動の再開も早かったですし、増加するテークアウト需要をうまくとらえたとしています。
日本でもかなり活動が正常化し始めていますから、業績の大きな悪化が続く「はなまるうどん」は今後の業績回復の余地は大きいです。実際に月次では回復傾向にあり、まん延防止等重点措置などがあったにもかかわらず、直近の第4四半期(21年12月〜22年2月)は19年2月期比で77.4%まで回復しています。今後は、はなまるの業績回復による好業績が見込めそうです。
とはいえ、一方で経常利益や純利益ベースでは助成金の好影響が減っていきますので、その点から業績悪化となる可能性は高いでしょう。
- マクドナルドのテークアウト/デリバリー成功の要因はどこにあった? 絶好調で時短協力金も辞退
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのは日本マクドナルドホールディングス、ハンバーガーチェーンのマクドナルドの国内展開をしている企業です。
- サイゼリヤがコロナ前をはるかに上回る利益水準になった理由
決算書で分かる日本経済の動向という事で、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのはサイゼリヤです。もちろんイタリアンのファミリーレストランであるサイゼリヤを運営している企業です。
- コメダ珈琲は、なぜコロナの悪影響をあまり受けなかったのか?
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。第3回目として取り上げるのはコメダホールディングスです。もちろんコメダコーヒーの運営をしている企業です。
- QBハウスがコロナ禍でも「客を離さない理由」 秘密はビジネスモデルにあり
なぜQBハウスはここまで拡大できたのでしょうか。早いから? 安いから? 確かにそうかもしれません。しかしそれだけでは拡大できないのがビジネスの世界。今回は早い安いに裏打ちされたQBハウスの強みについて紹介します。
- 会計クイズ ゲームメーカーの任天堂はどちらでしょう?
分かりにくいと思われがちな財務諸表。この記事では、会計初学者をターゲットにした貸借対照表の基礎についての解説をした上で、「会計クイズ」を出します。押さえるところを押さえれば、貸借対照表は決して難しいものではありません。
- 会計クイズ どちらがZOZOの損益計算書でしょう?
前編では貸借対照表の簡単な読み方と、「どちらが任天堂でしょう?」という会計クイズを出しました。今回は、会計初学者をターゲットにした損益計算書の基礎について解説した上で、同じ用に「会計クイズ」を出します。段階利益を押さえれば、損益計算書も難しいものではありません。
- ビジネスパーソンのためのSaaS KPI入門
ビジネス用語として定着した“SaaS”ですが、このビジネスを理解する上で欠かせないのが「SaaS KPI」と呼ばれる指標です。この記事では、SaaSビジネスにおいて、国内トップランナーであるfreeeの決算説明資料を基に、ビジネスパーソンが最低限押さえておきたいSaaS KPIの解説を行っていきます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.