続いて物価上昇による原価への影響を見ていきます。
22年2月期に関しては、原価率は37.2%→33.7%へと減少していて、むしろ粗利率は良化しています。
というのも1年前の21年の2月期に関しては、売り上げの急減によって食材のロスが増えたことやテークアウトの増加もあり包材コストが増加していました。その反動もあり原価率は改善したようです。
あとは、22年の1月に牛丼の値上げを行っていますから、2カ月ほどとはいえその影響もあるでしょう。
しかし、23年の2月期の通期では、原材料価格の高騰によって原価率が2.1%ほど上昇する見通しを立てています。円高が大きく進んだのもこの決算期の2月以降ですし、今後に原料費高騰などの影響が大きく出てくるでしょうから、今後は粗利率悪化が進んでいく可能性が高そうです。
また、吉野家HDのようなビジネスモデルの企業は、物価上昇によって粗利率が悪化する要因がもう1つあると考えています。基本的に吉野家事業は、牛丼自体を売ってもほとんど利益が出ないビジネスモデルです。牛丼で集客して、利益率の高いトッピングや卵、サラダ、豚汁のようなメニューで利益を出すモデルになっています。
ところが物価上昇が進む中で節約志向が高まると、サイドメニューやトッピングなどの売り上げが落ちる可能性があります。なので、こういったメインの商品以外で利益を出すモデルの企業は、節約志向の高まりの影響を受けやすく粗利率の悪化の可能性があると考えています。
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