西九州新幹線時刻表「かもめ」に謎の欠番、列車ダイヤを見て分かってきたこと杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/8 ページ)

» 2022年06月18日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

「かささぎ」で博多〜佐賀間の運行間隔を維持

 新たに設定された特急「かささぎ」は肥前鹿島駅の救済が目的だ。もとは「在来線(かもめ)」として走った区間である。ダイヤを見ると「かささぎ」の本数は少ないけれど、博多〜佐賀間を見ると、「リレーかもめ」「みどり」の隙間を埋めて運行間隔を整えている。「これだけ便利なら、やっぱり新幹線はいらない」なんていわれかねないほど、博多〜佐賀間の特急ダイヤは手厚い。

 新しい列車名は乗り間違いを防ぐために与えられた。列車名の「かささぎ」は鳥の名前で、佐賀平野が主な生息地。サギではなくカラスの一種で、佐賀県ではカチガラス、ヒゼンカラスとも呼ばれる。「かささぎ」は平安時代から書物に現れ、国の天然記念物、佐賀県の県鳥だ。佐賀県と福岡県を結ぶ列車にふさわしい。

 特急列車の名前はスピード感から鳥の名前を使う例が多い。「かもめ」「つばめ」「はやぶさ」「雷鳥」などがある。意外にも「かささぎ」は日本の列車名で初登場となる。生息域が佐賀県だったので、佐賀県を通過する列車名が優先されてしまい、機会がなかったようだ。

 仮に新鳥栖〜武雄温泉間がフル規格新幹線で開業した場合、今度は「みどり」が新幹線に格上げされて、武雄温泉〜佐世保間の「リレーみどり」と接続すると思われる。そうなると博多〜武雄温泉間の在来線特急は消滅しそうだ。そのとき、肥前鹿島駅救済の「かささぎ」は佐賀〜博多間の補完も含めて、フル規格新幹線建設の際の交渉の材料になると思う。期待の新人「かささぎ」から目が離せない。

「リレーかもめ」「みどり」「かささぎ」の朝6時から15時半のダイヤ。かもめに接続する「みどり」は便宜上「リレーみどり」と表記した。「リレーかもめ」と「かささぎ」は、早朝に門司港発がある(列車ダイヤ描画ソフト「Oudia」で作成)
「リレーかもめ」「みどり」「かささぎ」の14時から深夜0時のダイヤ。かもめに接続する「みどり」は便宜上「リレーみどり」と表記した。「リレーかもめ」の最終列車は門司港駅まで足を伸ばす。翌朝の門司港発になると思われる(列車ダイヤ描画ソフト「Oudia」で作成)

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