分かりやすさを優先すると、すべて「リレーかもめ」と「かもめ」で対になったほうがいい。しかし、ここで新たな在来線特急列車「かささぎ」が登場する。「かささぎ」は「(在来線)かもめ」が走っていた肥前鹿島駅と、博多〜佐賀間の区間運転の代わりに誕生した。肥前鹿島駅は西九州新幹線の並行在来線となるため「リレーかもめ」のルートから外れる。「かささぎ」はその救済のために走る列車だ。
現在の在来線特急の運行本数を維持したまま「かささぎ」を増やすと、輸送量が過剰になる。博多〜鳥栖〜肥前山口(江北に改名予定)は複線区間とはいえ、特急列車の数も増やしにくい。
そこで「在来線かもめ」の運行本数を「リレーかもめ」と「かささぎ」に振り分けた。しかし、新幹線「かもめ」は「在来線かもめ」の本数を維持するから、今度は「リレーかもめ」が足りない。この状況の解決策として、一部の「みどり」に「リレーかもめ」の役割を担ってもらう。これが「みどり○号(リレーかもめ)」である。博多〜佐世保間のうち、博多〜武雄温泉はリレーかもめの役割を持たせる。編成車両数を増やすなどの対策を取るはずだ。
この手法によって既存の「みどり」を新幹線「臨時かもめ」に接続できる。欠番の「かもめ」は「みどり」と乗り換える形で増発されるだろう。いっそ、かつて「かもめ」「みどり」が博多〜肥前山口間で連結していたように、「みどり○号・リレーかもめ○号」と2つの列車を武雄温泉まで連結すれば解りやすいと思うけれど、そこまでの需要増は期待していないようだ。
下が現在の運行体系、上が西九州新幹線開業後の運行体系。博多〜長崎間の列車を維持しつつ、長崎〜佐世保間も維持する(出典:JR九州、2022年9月23日ダイヤ改正)
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