自治体DXの推進に必要なことを考える上で、まずは各種統計から日本の現状を見ておく必要がある。
早稲田大学電子政府・自治体研究所が発表した「世界デジタル政府ランキング」によると、日本の世界順位は9位。アジアではシンガポール(2位)、韓国(8位)に次ぐ、3番手で、全体1位はデンマークだった。
一見すると、日本の順位は高いように見えるが、市区町村などの自治体レベルになるとデジタル化における厳しい状況が分かる。総務省は3月末、地方公共団体のDX推進状況をまとめた「自治体DX・情報化推進概要」を公表した。
それによると、DX推進の全体方針を策定した自治体は都道府県レベルでは全体の61.7%(29団体)が「策定している」と回答。「21年度中に策定予定」(14団体・29.8%)、「22年度中に策定予定」(2団体・4.3%)を合わせると45団体(95.8%)が策定方針と回答していることが分かる。
これに対し、市区町村(全1741団体)で、「策定している」と答えたのは全体の12.6%(219団体)。「21年度中に策定予定」(310団体・17.8%)、「22年度中に策定予定」(415団体・23.8%)を合わせても、策定方針を示しているのは全体の54.2%にとどまる。「未定」と回答した比率は全市区町村の45.8%(797団体)に上った。
「DX推進のための全庁横断的な体制の構築比率」で「構築している」と答えた比率では、都道府県が87.2%(41団体)だったのに対し、市区町村が27.6%(480団体)だった。
他にも都道府県と市区町村で格差が生じている。「DX専任部署の設置比率」で「設置している」と答えた比率は都道府県89.4%(42団体)で市区町村25.2%(480団体)、「DX推進のための外部デジタル人材の任用」で「任用している」と答えた比率は都道府県53.2%(25団体)、市区町村9.4%(163団体)、「DX人材育成の取り組み実施」で「実施している」と答えた比率は全都道府県、市区町村61.4%(1069団体)だった。
都道府県と市区町村では母数が違うため、割合の数値のみで単純比較することはできないが、結果だけ見れば、都道府県と市区町村で取り組みに大きな格差があるようにみえる。
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