東京支社の立ち上げを計画 「地域手当」は支払うべきか?Q&A 総務・人事の相談所(2/3 ページ)

» 2022年06月27日 08時00分 公開

地域手当の支給目的を明確化する

目的1:生活水準の不公平感を埋めるために設定する

 企業が地域手当を支給する目的としては、勤務地によって生じる生活支出の差を埋めて、勤務地間の不公平をなくすというものが一般的でしょう。

  地域手当の設計に際して用いられる典型的な指標は「物価」であり、物価に応じて勤務地域ごとに地域手当を設定するケースが比較的多くみられます。ただ、物価は多様な要素を含む複雑な指標であり、時々で大きく変動するものであることから、社員が納得しやすい地域手当の金額差を設計することは存外難しく、多くの企業が課題を抱えながら運用しているのが実態です。

目的2:人材確保・人材マネジメント施策として設定する

 地域手当の設定目的を「人材確保・人材マネジメント施策」という少し広い視点から捉え、地域ごとの賃金相場や採用事情にまで踏み込んで設定する方法もあります。物価を指標とした地域手当の設定方法は典型的なやり方の1つではあるものの、「一般的に物価を指標にしているから(自社も導入する)」という理由ではなく、本来は自社の現状と課題にマッチした指標を戦略的に設定する姿勢が望ましいといえます。

 例えば、ある全国展開の企業が、学卒者の採用を進めるにあたって地域別に初任給水準を設定することを考えたとします。一括採用で転勤させることを前提に初任給は統一する方法が一般的ですが、学卒者の地域採用を強化する方針であれば、ない話ではありません。

 ただ、現実的には基本給自体を変えると他の仕組み(賞与や退職金など)にも大きく影響することが多く、運用が困難になります。初任給は統一しつつ地域手当を設けることで地域ごとの初任給水準の差を埋める、という方法が実施しやすいでしょう。

生活水準の不公平感を踏めるのが、地域手当の役割(画像:ゲッティイメージズより)

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