最低賃金法は日本だけではなく、諸外国にもある。その水準は、その国の経済力を示すと考えられる。22年6月時点で確認された米国、ドイツ、フランス、英国、日本の最低賃金を比較してみた(同年6月時点のレートで円に換算)。
米国には連邦最低賃金と州別最低賃金があり、後者が前者を上回る場合は、後者が適用される。インフレの影響を受けて、20を超える州で最低賃金の引き上げが予定されている。既にロサンジェルスは16.05 ドル(2165円)、カリフォルニア州は15ドル(2025円)となっている(1ドル135円で計算)。
一方、ヨーロッパに目を向けると、ドイツは12ユーロ(1704円)、フランスは10.85ユーロ(1541円)、英国は9.5ポンド(1566円)となっている(1ユーロ142円、1ポンド165円で計算)。
円安になり為替レートの影響を強く受けているものの、米国の主要エリアの最低賃金は2000円台に到達し、欧州主要国は1500円を超えている。これに対して日本の平均は930円であるから、米国の半分以下、ヨーロッパ主要国の約6割ということになる。
また、OECDによると日本全体の平均賃金は先進7か国の中で最下位であり、米国の58%程度まで下がった(19年時点)。また最低賃金も欧米の先進国に比べれば、半分あるいは6割以下の状態にある。
上述した調査結果と分析から判断すると、最低賃金の到達目標は1000円ではなく、欧米の水準近くまで引き上げことが予想される。諸外国の現状をみれば、少なくとも1500円程度になる可能性がある。
そして同一労働同一賃金の法律に従い、正社員の平均的昇給額を時給に換算した28円前後のアップが毎年行われることも予想される。賃金は購買力の元であり、購買力は消費力である。消費力をアップさせなければ経済の成長はない。日本が経済大国であるには、賃金を上げなければならない。現状維持のままでは、「安い日本」が「貧しい日本」になる可能性も否定できないだろう。
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