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プロレスラーがレッスンも!? エンタメ企業がスポーツジムを経営する戦略とは新日、スターダムとコラボ(2/3 ページ)

» 2022年07月05日 16時15分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

初めて都内に進出 新日やスターダムとコラボ

 ブシロードウェルビーは4月に正式にブシロードグループに加わって以降、積極的な事業展開を進めている。これまでブシロードウェルビーは主に北海道を中心に9店舗のフィットネスクラブを運営していた。だが5月には、東京都世田谷区松原に「ブシロードウェルビー東松原」をオープンしたのだ。これまで首都圏では埼玉県狭山市に1店舗だけ出店していたものの、都内への進出はこれが初となる。

 東松原店の月会費は8800円からに設定した。ブシロードグループに加わったことで、東京をはじめとした全国展開の第一歩とみていいだろう。

 ブシロードという総合エンターテインメント企業とフィットネスクラブ事業が手を組むことで、今後どんなことが可能になるのか。大場社長がこう話す。

 「既に『新日本プロレス』や『スターダム』とはコラボを進めております。例えばレスラーの方がレッスンをしたり、選手オリジナルのサプリメントを提供したりといったこともできると考えています。『バンドリ!』などアニメ・ゲーム系のコンテンツともコラボして、キャラクターを使った取り組みもしていきたいですね」

 実は、エンタメ企業がフィットネスクラブ事業に身を乗り出すのはブシロードが初めてではない。大手ゲーム会社のコナミが2001年から手掛けている「コナミスポーツクラブ」の例がある。しかしながら近年ではコロナ禍の影響もあり、閉店するケースも少なくない。先述の「ブシロードウェルビー東松原」や、ソプラティコ時代から北海道で運営している「フィットネスクラブ ソプラティコ小樽」も、もともとは同地にあったコナミスポーツクラブを引き継いだ形だ。

 エンタメ企業が運営するフィットネスクラブとして、どのように差別化していきたいのか。大場社長がこう力説する。

 「他社の場合、私も期待していたところもあったのですが、自社の事業との相乗効果をうまく生み出せなかったのではないかと思う部分があります。新たに健康事業を始めることによるブランドイメージの向上を狙った印象も持ちますね。当社の場合は、あくまでブシロードというエンタメ企業としてのブランドを中心に据えた取り組みをしていきたいと思います」

 一例としては、プロレスラーがジムのコーチ役としてレッスンをしたり、『バンドリ!』をはじめとする作品で提供されている楽曲をトレーニングに用いたり、社内で新たにフィットネス系のゲームを開発・提供したりするといった施策が考えられるという。こうした既存IP(知的財産)の活用は、他社ではあまり試みられてこなかった取り組みといえる。

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