まずは、次の表を見てほしい。これは顧客体験価値(CX)スコアの業種別平均値である。これをみると、「食品・飲料メーカー」が最も高く、次いで「専門店」「旅行・交通」「飲食店」となっている。一方で、「金融関連」「メディア・情報」といった、いわゆる規制業種のスコアが大幅なマイナスとなっていることが分かる。
今回ランクインした企業をクラスター分析すると、顧客とブランドの関係性を4段階に分類できる。
1番左の第1段階は、Captive(=選択の余地がない状態)。代替商品がないから仕方なく購入して、使っている状態を指す。第2段階は、Transactional(=損得だけの付き合い)。コスパがいいから選んでいるという関係であり、この段階までは受動的かつ機能的な関係と読み解ける。
第3段階で、関係はPartnership(=信頼できる仲間)に昇華する。ここで初めて顧客ロイヤリティが生まれる。第4段階では、ついに顧客との関係がSynergistic(=無くてはならない存在)になる。ここにおいては、顧客とブランドが一種の相互依存関係を築けているといえる。「顧客がブランドと共創できていると感じられる状態」が必要不可欠だ。
ランキング1位の丸亀製麺を例に挙げてみよう。「客の要望に沿った事業を展開している」「客が求める味があり、キッチンも公にしている」などのコメントは、意識的にも無意識的にもそう感じている人が多いと読み取れる。さらに重要なのは、顧客体験価値が高まるにつれ、NPSも上がっている点である。顧客体験を高めることの重要性がブランドの自己満足でないことが明確である。
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