インターブランドジャパンは今回4回目となる「顧客体験価値ランキング」を発表した。ランキング上位のブランドの特徴や顧客体験価値を上げるためにブランドが取り組んでいることを業界ごとに読み解いてく。
リサーチ事業を手掛けるC Spaceの兄弟会社であるインターブランドジャパン(東京都渋谷区、以下、当社)は、今回4回目となる「顧客体験価値(CX)ランキング」を発表した。当社調べによると、C Spaceは世界で初めてMROC(Marketing Research Online Communities)というリサーチ手法を実施した会社である。MROCとは、商品や企業など特定のテーマに興味関心のある人をオンラインコミュニティーに招待し、ディスカッションやアンケートなどを通して消費者インサイトを多面的に探索するリサーチ方法だ。
本ランキングで回答者は、「顧客のことをよく理解しているブランド」「理解していないブランド」をそれぞれ1ブランドずつ純粋想起し、各々のブランドを表1の「体験価値の5つの要素」に関連する21項目に基づいて評価した。顧客のことを理解しているブランドには0〜10点、顧客のことを理解していないと思うブランドにはマイナス10〜0点でそれぞれスコアを付けた。
その結果を加重平均して、顧客体験価値スコアを算出。今回発表の調査は、2021年10月と22年4月に、合計1万人強の日本在住者を対象にしたアンケート結果を基に分析している。
今回の顧客体験価値(CX)ランキングの1位に輝いたのは「丸亀製麺」だった。自由解答においてネガティブコメントが少ないことが一つの特徴といえる。同時に、機能価値だけでなく、情緒価値に関連するコメントも数多く上げられた。
丸亀製麺に続き、2位は前回1位の「星野リゾート」。3位に前回7位の「ANA(全日空)」がランクイン。順位の入れ替わりはあるものの、安定して高い支持を得ていることが分かる。
5位には「味の素」、17位には「サントリー」がランクイン。強みは、積極的に発信しているパーパスやブランドが目指す世界観と顧客の認識が一致している点といえるだろう。また、顧客の声に真摯(しんし)に向き合うだけでなく、顧客とともに体験づくりができている「花王」(9位)も、昨年に引き続き、トップ25にランクインした。自由解答においても、各ブランドの特徴が体験評価において重要な要因となっていることが見て取れる。
前回調査では圏外だったブランドも、5つがランクインした。4位の「スシロー」を皮切りに、「楽天」(42位)、「SK-II」(44位)、「Netflix」(46位)、「コカ・コーラ」(50位)が名を連ねた。
体験価値は機能価値に対する満足度のように浮き沈みが激しいものではなく、情緒価値に対する満足度のように時間をかけて積み上げられていくものであり、圏外からランキング上位に入ることは困難なことだと考えられる。その前提を考慮すると上記5ブランドの躍進ぶりがうかがえる。
なぜこのようなランキング結果になったのだろうか? 「企業と顧客の関係性」と「顧客体験価値向上のための5つの要素」から読み解いていく。
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