マネフォ決算、中堅企業向けKPIを初公開 インボイス制度が追い風に(1/2 ページ)

» 2022年07月14日 15時41分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 マネーフォワードの業績が好調だ。7月13日に発表した2022年11月期第2四半期(3−5月)の決算では、売上高が前年同期比27%増加の50.9億円、SaaSのARRが38%増加の139.8億円と順調に増加した。売上高は全四半期で公開した会社予想の上限値を超えて上振れした。

マネーフォワードのARRは38%増加し139億円に(マネーフォワード資料より)

 中でも好調に推移したのが、ARRの約7割を占める、クラウド会計などの法人向けSaaSサービスだ。こちらは前年同期比で45%拡大し、会社全体の伸びをけん引した。

 法人向けSaaSの中身を分解すると、初期から提供していた中小企業(SMB)向けと、20年10月に参入した中堅企業(MID)向けのERPサービスに分かれる。この中堅企業向けサービスはARRが前年同期比121%増と急拡大している。同社はこのたび、中堅企業向けサービスのKPIを、いくつか公開したので、ひも解いてみよう。

中堅企業向けSaaSのKPIを新開示

 まず法人向けSaaSのARRは全体で95.03億円。うち、約3割となる31.8億円を中堅企業向けサービスが占める。SMB向けのARR成長率が24%増なのに対し、中堅企業向けは121%増と成長ドライバーだ。

法人向けSaaSのARRの内訳を見ると、中堅向けサービスが伸びをけん引(マネーフォワード資料より)

 中堅企業向けのARR増加分のうち買収したHiTTO社分を除くと、増分は約100%増。ARRは顧客数と顧客単価(ARPA)の掛け算となるが、「顧客数1.5倍、ARPA1.3倍前後」(CFOの金坂直哉氏)という内訳だ。法人顧客全体の増加は25.4%増なので、こちらも中堅企業向けがけん引している。

 中堅企業は従業員数50人以上と定義しており、事業規模が大きい。そのため従業員数に比例する料金プランでは顧客単価も上昇する。「中堅企業向けは顧客規模が増えており、複数プロダクトを導入してもらえている。新規顧客のARPAが1.7倍だ」(金坂氏)。また解約率は0.7%(全体では1.3%)と良好だ。結果、新規顧客のLTV(顧客生涯価値)は1.9倍へ拡大した。

中堅企業向けサービスでは、単価、解約率などが大幅に改善(マネーフォワード資料より)

 個人向けの家計簿サービスから事業をスタートし、個人および中小企業向けの会計サービス、そして中堅企業向けのERPへと領域を拡大してきたマネーフォワード。「まったく認知がない中、2年でこの規模までこれた」と金坂氏が言うように、新領域が業績全体のけん引役となっている。

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