快進撃を続けてきた海底撈だが、コロナ禍で状況が一変し、21年12月期の純損益は41億6317万元(約830億円)の赤字に転落した。上場翌年の19年は23億4500万元(約470億円)の黒字、コロナ禍1年目の20年は3億900万元(約62億円)の黒字だったことを考えると、21年の赤字の大きさが分かるだろう。
外食チェーンはコロナ禍で国内外ともに全体的に苦しいが、海底撈の苦境は博打の結果でもある。「感染は20年に収束する」と予想し、テナント料が下落した20〜21年を「投資の絶好機」とみて、20年に544店舗、21年上半期に299店舗を新たにオープンした。21年6月末の店舗数が1597店だから、わずか1年半で店を倍に増やした計算になる。
ところがウイルスはデルタ株、オミクロン株と変異を繰り返し、21年にさらに猛威を振るった。ゼロコロナ政策をとる中国は他国に比べると感染が落ち着いていたが、それでも各地で臨時休業や時短営業が相次ぎ、出店攻勢は完全に裏目に出た。
少し考えれば分かりそうなものだが、1年半で800店舗をオープンしたことから人材育成も追いつかず経営効率は大幅に低下した。
海底撈は21年11月に戦略の失敗を認め、同12月までの2カ月で308店舗を閉鎖した。22年1〜5月も中国全土で68店舗を閉店し、新規オープンは3店舗にとどまっている。
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