ただでさえカルチャーの違う海外事業は一筋縄ではいかない。国内の立て直しに追われる海底撈は、中華圏の中核事業に専念するために、重荷となっていた海外部門を切り離した可能性がある。
海外事業全体の中でも、日本と韓国をカバーする東アジア事業が苦戦していることも指摘しておきたい。
東アジア地域の客単価(21年1〜3月)は28.85ドルで、東南アジアの24.8ドルよりは高いもの、北米の54.3ドル、オーストラリア、英国の45.6ドルには遠く及ばない。東アジアの回転率(同)は1.9回で、こちらは全地域で最も低い。
日本市場については、中国本土と同様にコロナ禍での「急激な拡張」と「短期間での閉店」が鮮明で、FacebookやInstagramの公式アカウントによると、以下の順に出店していた。
- 15年:池袋(東京)
- 17年:新宿(東京)
- 18年:幕張(千葉)、心斎橋(大阪)
- 19年:三宮(神戸)
- 20年:町田(神奈川)、横浜中華街(同)、川崎(同)、横浜駅前(同)、福岡(福岡)
- 2021年:秋葉原(東京)、上野(同)
しかし現在営業しているのは池袋、新宿、幕張、横浜駅前、上野、心斎橋の6店舗のみで、秋葉原や横浜中華街の店舗は休業。町田、三宮は閉店した。
海底撈日本の関係者は現状を「調整の時期」と説明する。稼働店舗を絞った上で数カ月前からメニューの見直しや従業員教育に注力しているといい、22年5月の分社のタイミングと重なる。
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