以上のように海底撈は立て直し真っただ中にある。そして、店舗数が少ないためほとんど話題にならなかったもの、海外事業は中国本土以上に低迷している。
特海国際の資料によると、売上高は19年が2億3300万ドル(約320億円)、20年が2億2100万ドル(約300億円)、21年が3億1200万ドル(約430億円)で推移。対して赤字は19年の3300万ドル(約45億円)から20年が5300万ドル(約73億円)、21年は1億5000万ドル(約210億円)と急激に拡大した。21年通期で見ると、海底撈の売上高に対する海外事業の比率は5%だが、赤字額の内の24%を占めている。
赤字拡大の理由は、コロナ禍の長期化と新規出店によるコスト増だ。海底撈は19〜21年の3年間で海外に計73店舗をオープンしている。今年3月時点の店舗数が97なので、中国本土と同じく過去3年で大量出店しているのが分かる。
一方、海外店舗の1日の平均回転率は2.1回(21年)で、海底撈全体の3回を下回った。火鍋は会食需要が圧倒的に多く、外食産業の中でも会食自粛の影響を強く受けた。日本の店舗も緊急事態宣言やまん延防止など重点措置が出ている間は、基本的に休業していた。
海底撈は店舗の規模が大きく、開業・運営コストもそれだけかかる。日本事業の関係者によると、1店舗で働く従業員は100人を超えるという。新規出店、休業、撤退を繰り返し、赤字が雪だるまのように膨らんでいった。
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