インターブランドジャパンは今回4回目となる「顧客体験価値ランキング」を発表した。ランキング上位のブランドの特徴や顧客体験価値を上げるためにブランドが取り組んでいることを業界ごとに読み解いてく。
企業やブランドが提供している「顧客体験」の価値を定量的に評価する「顧客体験価値(CX)ランキング」。今回は、トップ50にランクインした5社の食品メーカー「味の素」(5位)、「サントリー」(17位)、「日清食品」(20位)、「アサヒ」(21位)、「コカ・コーラ」(50位)に焦点を当て、顧客との深い結びつきを築くための3つのパターンを紹介する。
第1のパターンは、企業姿勢への信頼感に加えて、顧客の切実な悩みや要望に寄り添い、顧客のツボをとらえた商品・サービスを提供することだ。上記5社の中では、味の素(5位)と日清食品(20位)が当てはまる。下記のグラフは、「顧客体験価値ランキング」の5つの指標(「体験価値」の5つの要素)における両ブランドの評価だ。
このように、「体験価値」の5つの要素で見ると、中央の「オープンで正直である」が最も高い評価となっている。具体的には「ブランドの発信している内容と実際に提供している製品・サービスが一貫している」「信頼できる」「顧客との対話に関心がある」などを意味する。実は今回50位以内にランクインした食品メーカーの共通項として「オープンで正直である」が突出して高いことが挙げられる。自分や家族の口に入る食品のため、なによりも「信頼できる企業であること」を重視しているのだろう。
次に評価が高いのが、「私にとって意味がある」の指標だ。「たくさんの選択肢の中で、自分がそのブランドを選ぶ意味や価値を示してくれているか」に関する評価である。同社に投票した回答者の自由回答を見てみよう。
<味の素>
自由回答から、企業レベルのコミュニケーションで「人々の健康を考えている」ことが顧客に伝わっていると分かる。さらに、その企業の思いが、具体的な商品のベネフィットとして顧客に実感されていることもうかがえる。
共働きの増加、超高齢化社会、個食や孤食の問題など、社会構造の変化の中で、「食」は人々が心身ともに健康な生活を考える上で重要であり、それだけに人々が「食」に関して抱える悩みは大きい。味の素に対する顧客のコメントを見ると、お題目として「Eat Well, Live Well.」を掲げるにとどまらず、現実に生活している人々がより良い食生活を送れるための価値を提供していることが見て取れる。それにより、味の素は顧客の生活にとって身近で、意味のある価値をもたらしているという評価につながっているのであろう。
次に、日清食品のコメントを見てみよう。
<日清食品>
コメントを見ると、日清食品は顧客から見て「生活に密着した、なくてはならない存在」になり得ていることが分かる。さらに、「おもしろい商品、おもしろいコミュニケーション」についての言及も目立った。まさに生活に寄り添い、生活に楽しさを与えてくれている企業として顧客の支持を集めているといえる。好意的コメントを記入した回答者の年齢層が幅広い点も日清食品の特徴だ。
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