闇で流れる「ウナギロンダリング」 土用の丑の日に未来はあるか「土用の丑の日」に憂う(5/6 ページ)

» 2022年07月22日 10時59分 公開
[真田康弘ITmedia]

国内法規制進むも、未知数の効果

 18年の漁業法改正など、水産分野ではようやく科学的水産資源管理が本格的に導入されるとともに、各種規制の強化が行われている。改正漁業法では罰則の引き上げが行われ、農林水産省令で「特定水産動植物」に指定された水産物を密漁した場合、3年以下の懲役または3000万円以下の罰金に処すこととなった。稚ウナギもこの「特定水産動植物」に指定されている。

 20年には水産物のトレーサビリティーを高めるために「水産流通適正化法」も新たに制定されている。この法律では国内で違法かつ過剰な採捕が行われるおそれが大きい魚種を「特定第一種水産動植物」と指定。漁獲番号を含む取引記録を作成・保存するとともに、その一部を事業者間で伝達すること、輸出時に国が発行する適法漁獲等証明書の添付を義務付けている。

 また、国際的に密漁や無報告漁業のおそれが大きい魚種を「特定第二種水産動植物」に指定。輸入時に外国の政府機関等発行の証明書等の添付を義務付ける内容となっている。稚ウナギについても国内での違法漁業の恐れが高いとしてアワビ、ナマコとともに「特定第一種水産動植物」に指定された。

 ただし、これが実際に効果的かどうかは未知数だ。というのも、業界の抵抗などにより、罰則の引き上げが実際に実施されるのは23年12月、水産流通適正化法による規制の実施も25年からとなっており、まだ導入もされていないからである。

 さらに稚ウナギについては台湾由来の「ウナギロンダリング」密輸が問題であるにもかかわらず、養鰻業界が強く反対するなか、稚ウナギは「特定第二種水産動植物」に指定されず、肝心の輸入に関して水産流通適正化法の規制外に置かれてしまったのである。

イオン葛西店の売り場で販売されていたウナギ(2018年アイティメディア撮影)

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