2022年4月、「週休3日」に関する報道がにわかに盛り上がったのを覚えているだろうか。多くのメディアが、日立製作所(以下、日立)やパナソニックホールディングスが週休3日を選べる制度を導入すると伝えていた。
しかし、日立で勤務制度や休暇制度の設計を担当する赤井孝充氏は、同制度は「週休3日を目的にしたものではない」と話す。世間を賑わせた日立の制度変更の誤解とは。実際には、どのような制度なのか? 給与や有給休暇はどうなるのか? 素朴な質問をぶつけてみた。
「週休3日を選べる新たな勤務制度」として紹介されたのは、フレックスタイム制の勤務時間に関する変更だ。現在は勤務時間の下限は1日3.75時間と定められているが、これが撤廃される。
とはいえフレックスタイム制なので、月の総労働時間が定められている。基本は1日に7.75時間を目安に勤務することを前提に考えられているが、1カ月の中で調整すれば、最も短い場合で3.75時間勤務も認められるというのが現在のルールだ。
制度変更後にはこの最低ラインがなくなり、例えば数日にわたって7.75時間よりも長く働けば、非就業の日を設けることも可能になる。1カ月の中でやりくりすれば「0時間勤務の日」を作れる可能性もある、ということだ。なお、あくまでフレックスタイム制の枠の中での変更なので、給与額の変更はない。
このため、週休3日という認識は、制度の実態とはややずれる。週単位ではなく、あくまで月単位で調整した結果、非就業日を作ることもできる、というものだからだ。週休3日状態を継続的に作り出すことも不可能ではないが、そのためには複数日に9〜10時間勤務しなければならず、ハードルは決して低くはない。(資料1参照)
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