「スーパー玉出」運営会社も参入! セレブの住む「芦屋」で高級スーパーの競争が激化している理由長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)

» 2022年08月06日 07時15分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

JR芦屋駅周辺部

 高級スーパーが立地する場所は、4カ所に集約される。

 まずは、JR芦屋駅の周辺部だ。

 同駅の1日の乗降客は4万人を超えており、市内最大の駅だ。新快速の停車駅でもある。大阪駅まで20分足らず、神戸の中心駅・三ノ宮駅には十数分で着くのでとても近い。

 北口には、大丸芦屋店を核とする駅ビルの「モンテメール」(1980年開業)があり、道路を挟んでぺディストリアンデッキにより、約200店が入居する商業施設「ラポルテ」(86年開業)と連結している。南口は現在再開発の工事中。市内最大の商業集積地である。

JR芦屋駅ビル、大丸芦屋店が入居するモンテメール

 高級スーパーは、北口に明治屋、成城石井、オーガニック・プラザがある。南口には、いかりスーパーマーケットの小型店「いかりアンカーレット JR芦屋店」がある。また、駅構内の改札外コンコースではYAMASHOが営業している。

 92年にオープンしたいかり以外は、2019年以降にできた店で、高級スーパーが急増しているエリアだ。

 明治屋(東京都中央区)の芦屋ストアーは、大丸芦屋店の全館リニューアルの一環として誕生した。地下1階食品売場にあり、生鮮食品を補完するグロサリー売場を担当している。同社は百貨店のインショップの出店が多く、同店で26店目。明治屋ストアーは34店ある。

大丸芦屋店のインショップ、明治屋ストアー

 商品としては、産地や製法にこだわったオリジナルのマイジャム、缶詰、ハム・ソーセージ、直輸入のチーズ、厳選したお酒・コーヒー・紅茶、冷凍食品、少し手を加えれば食べられる半調理品などを販売している。日配品の売り上げ構成比が50%以上で、特に豆腐、納豆、漬物など和日配に強い。他の百貨店のインショップと顧客単価は変わらないが、地域密着型に近い売れ筋だという。

明治屋のマイジャム(出所:明治屋公式Webサイト)

 「芦屋の高級スーパーはオーバーストアー感が否めないが、弊社店舗にそれほど影響は出ていない」(明治屋・広報)と、顧客層がターゲットに合致しており、順調な推移としている。

 成城石井(横浜市)は、モンテメール本館1階に店舗をオープン。地域のニーズに合わせてそつがない自在な品ぞろえができるのが同社の強みで、ワインや総菜にはファンが多い。間もなく200店に到達する。両隣は大丸とスターバックスコーヒー。同店では、グロサリー、スイーツ、乳製品、総菜、パン、お酒などを販売。集客は安定している。

モンテメールに出店した成城石井
成城石井のアペリティーヴォ提案。食前酒と前菜を楽しむ(出所:成城石井公式Webサイト)

 YAMASHOは、京都府北部の丹後地方でオーガニックスーパーや酒専門店などを展開する山庄(京都府京丹後市)の新業態。「おいしい通勤」を芦屋駅から提案。コンセプトは「NATURAL EAT&LIQUOR」だ。関東では、「紀ノ国屋」や成城石井がよく駅ナカに小型スーパーを出店して、駅ににぎわいをもたらしているが、イメージ的には似ている。

YAMASHO

 YAMASHOのベーカリー商品は、業界で評価が高かった西宮市のベーカリー「エスケール」(今年2月に惜しまれつつ閉店)創業者の三澤孝夫氏がプロデュース。デリカテッセンは、元ヒルトンホテルのシェフ、大野信弥氏が担当している。

 その他、オーガニック、国産、無添加にこだわったグロサリーの商品を展開。ワイン、日本酒、焼酎など厳選したお酒も売りの1つだ。

YAMASHOのベーカリー売場(出所:プレスリリース)

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