市の中央部で、JR芦屋駅から北東にあり、歩いても20分程度だ。阪急の線路を挟んで、北側には「いかり 芦屋店」、南側には「ビッグビーンズ」がある。両スーパーが面するバス道「宮川けやき通り」は、六麓荘に通じている。いわば六麓荘の玄関口にあたる場所である。
いかりは、京阪神に25店ほどを展開する関西のローカルスーパー。阪急神戸線沿線に色濃く残る「阪神間モダニズム」の雰囲気を、現代風に表現した、独特な品ぞろえで異彩を放つ。珍しい輸入食品、ワインをはじめとする洋酒、オリジナルの焼き立てパン、自家製造の弁当・総菜・スイーツなど、いかりでなければ買えない独自性が強い商品がそろっている。
高品質の素材にこだわった和食のブランド「たぬき庵」は、「お弁当・お惣菜大賞」(主催・全国スーパーマーケット協会)の常連。22年も「パリパリおにぎり 銀鱈西京焼」が優秀賞受賞。「豚肉と鶏肉の美味しい西京焼のお弁当」「海の幸の祭り寿司」「国産栗のおはぎ」が入選した。
1977年にオープンした芦屋店は、塚口店(兵庫県尼崎市)、夙川店(同西宮市)に次ぐ3号店で、いかりが高級スーパーとしての地位を確立した店だ。90台と広い駐車場を備え、高級外車で乗りつける人も多い。いかりのロゴが入った紙袋は、芦屋市民ならば必須アイテムといわれるほど。
「ビッグビーンズ」は高鍋商事(大阪市)が経営する、高級スーパーとしては3店目の店舗で、大阪市外初出店に芦屋の地を選んだ。高品質のグルメマーケットとして、やはり独自性の強い品ぞろえで、王者・いかりに真っ向勝負を挑んでいる。
駐車場は3カ所に分散しているが計60台。こちらも高級外車を多く見かける。
しかし、今日の芦屋の高級スーパー出店ラッシュの扉を開けたのは、2014年にオープンした「グランドフードホール」ではないだろうか。芦屋が本店で、いかりからは宮川けやき通りを渡って西へ徒歩1分ほど。東京は六本木ヒルズに店舗がある。「グラホ」の愛称で親しまれている。
グロッサリーとデリとグローサラントが合体したような店で、他の店では売っていない厳選された高品質な加工食品、総菜・弁当が彩り豊かに並んでいる。
購入した商品をカフェ的な居心地の良い空間で食べられる点が、いかりと差別化されていた(リニューアル後はいかりにもカフェスペースができた)。
グラホは葉が大きくて柔らかい「ロールキャベツ」など、手づくりグルメの評価が高く、関西一円の意識の高いマダムに評判となっている。芦屋の高級スーパーならいかり一択とされてきた、鉄壁の牙城を揺るがした。
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