朝日新聞社は有料化の狙いを「サービスの見直しの一環」「ユーザーにとって分かりやすく使いやすいサービスの提供」(広報)と回答している。しかし、背景として同社の経営状況も見逃せない。
同社は21年3月期連結決算で、売上高2937億7100万円(前年比16.9%減)、営業損益が70億3100万円の赤字、純損益も441億9400万円となり、11年ぶりの赤字に転落した。
同社が赤字転落の要因と指摘するコロナ禍に加え、メイン事業である新聞発行部数も年々右肩下がりで減少している。2012年に約762万部だった部数が、2022年には約457万部(ともに朝刊)となり、10年間で約300万部、割合にすると4割減少した。売上高も同様に、12年3月期の約4760億円から約2937億円に、10年で約1823億円、約4割減少している計算になる。
読者からの購読料を主な収入源としている新聞社にとって、部数低下は“死活問題”だ。金融庁が運営する電子開示システム「EDINET」で公開されている同社の有価証券報告書を見ると、新聞などのメイン事業「メディア・コンテンツ事業」の22年3月期の売上高は2392億3700万円(前年比234億7600万円減、8.9%減)、セグメント利益は44億6600万円(前年は120億2500万円の赤字)だった。
これに対し、自社ビルのテナント料収入などの「不動産事業」の売上高は307億5900万円(同17億7300万円増、6.1%増)、セグメント利益は50億7500万円(同1億7800万円減、3.4%減)だった。メイン事業よりも不動産収入の利益額が高いため、Twitterでは「不動産が本業」などと指摘する声もある。
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