まず(1)法律で定められた日数を上回る有給休暇の事例です。比較的規模の大きい会社では、法律で定められている付与日数を上回る有給休暇を付与する規定を設けているところもあります。この場合、法律を上回って付与されている有給休暇を会社が買い取っても問題ありません。
例えば、6カ月継続して働いて出勤率8割を満たした場合、法律上は10日の有給休暇が付与されますが、会社によっては12日付与する規定となっているような場合、法定を上回る2日分を買い取ることは違法ではありません。
次に(2)時効で消滅してしまう有給休暇の事例です。有給休暇の時効は2年間であり、付与から2年経過しても消化できなかった有給休暇は権利が消滅してしまいます。権利が消滅してしまった有給休暇は使用することができないため、代わりに消滅してしまった有給休暇を会社が買い取ることは認められています。
最後に(3)の事例では、上記(2)と同じく退職時に残ってしまった有給休暇は使用する機会がなくなってしまうため、会社が買い取れます。ただし、買い取りの義務があるわけではありません。従業員からの申し出があり、会社がそれに合意した場合にのみ、買い取っても差し支えないということです。
有給休暇を買い取る際は、定めた誓約書や合意書を準備して回収することが望ましいです。合意書には、会社が買い取る有給休暇の日数、支払期限や方法、その他買取金額などを明記します。買取金額の算出方法については、就業規則に定めてある金額を使用することが一般的です。
有給休暇の買い取りが可能な3つのパターンを紹介しましたが、冒頭でもお伝えした通り「有給休暇は、一定期間勤続した従業員に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇」です。日頃から有給休暇を取得しやすい環境の整備を進めていくことをおすすめします。
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