10月からアルバイトやパートタイマーなど、フルタイムで働く従業員よりも所定労働時間が短い労働者(短時間労働者)に対する社会保険の適用拡大が始まります。企業側が社会保険加入の適用拡大に向けて準備すべきことを社会保険労務士の筆者が解説します。
大きく変わる点としては、週30時間以内で働いている短時間労働者に厚生年金や健康保険、いわゆる社会保険に加入させなければならない企業が増えたことです。9月までの規定では、週の労働時間が20時間以上、月額の賃金が8万8000円以上(残業代や交通費を除く)の従業員を社会保険に加入させる義務が課されていたのは従業員数が500人を超える企業のみでした。
10月からは、その対象が100人を超える企業になります。短時間労働者について社会保険に加入させる義務がある企業を特定適用事業所と呼びます。また短時間労働者の雇用期間も1年を超える見込みから2カ月を超える見込みとより厳しくなりました。
対象となる労働者は、1日7時間で週3日、1日6時間で週4日などのスーパーマーケット、小売店、補助的な事務職などで働いている人、いわゆる配偶者の扶養親族として働いている人が多いと思います。東京、大阪、神奈川などの都府県であれば、最低賃金(時給)が1000円を超えているので、週20時間以上働いている人であれば加入させなければならないと考えてよいでしょう。
では、今回の改正で企業側の負担はどのくらい増えるのでしょうか? 厚生年金の企業負担分は給料から算定される標準報酬月額に9.15%(厚生年金保険料率である18.3%の半額)を乗じた額、健康保険の負担分は都道府県によって異なるものの、支払う賃金の5%前後と考えてよいでしょう。
東京都の場合で試算すると、月額の賃金が8万9000円の場合の健康保険料および厚生年金保険料の負担額は、40歳未満の場合であれば1万2368円(1円未満切り捨て)、40歳以上の場合は1万3090円(1円未満切り捨て)です。年間にすると1人当たり15万7000円。対象者が10人いる企業では150万円を超えますので、人件費に与える影響は大きいでしょう。
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