筆者は自分自身で記事を書く以外にWebメディアを運営し、他者の書いた記事を直し、執筆指導も行っている。その際に伝えていることは「固有名詞は読まれる」ということだ。固有名詞とはヒト・モノ・コトで、これらをネタするとページビューが伸びる傾向がある
したがって「固有名詞を出しても問題がない場合は、『ある人』とかと『ある企業』とかぼやかさずにハッキリと書くように」とアドバイスしている。もちろん固有名詞を出すことにはリスクが伴う。間違ったことを書けば訂正や謝罪をすることになり、場合によっては名誉棄損や営業妨害で訴えられるリスクもあるからだ。
今回の電通発言が筆者の運営するWebメディアで書かれた記事だったとしたら、編集長として以下の部分を必ず確認をする。
固有名詞を出すことはリスクがある、という話は報道機関で働く人が知らないはずもなく、事前に知らされていない固有名詞が突然出てきたのであれば生放送中でも即確認すべきであることは言うまでもない。
そして今回の誤報は番組か玉川氏かを問わず、まともに取材した結果であったとは極めて考えにくい。仮に電通などの広告代理店が関わっていたなら、それを国が隠す必要もなく、国葬のような大規模なイベントであれば関わっている企業を隠すことも不可能だからだ。
実際、国葬のイベント運営を請け負った企業が安倍元総理の疑惑として繰り返し報じられている「桜を見る会」の運営を行っていた企業と同じと話題になったのは、9月の冒頭で国葬開催の1カ月近くも前だ。
玉川氏がどのように勘違いをしたのかは不明だが、冒頭に書いた通りそれは大した問題ではない。個人の勘違いであろうと番組スタッフの間違いであろうと、テレビ朝日の番組内で誤報がなされたことに間違いないからだ。
そして玉川氏の誤報以上に大きな問題は、誤報と謝罪を繰り返す玉川氏を出演させ続けている制作陣や経営陣の判断だ。
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