誤報や捏造に対して各局がこれだけ厳しい対応をした理由は、放送法によって「報道は事実をまげないですること」と定められており、なおかつテレビ局には外資規制などの特権も与えられているからだ。
外資規制は外国人投資家が20%以上の議決権を持つと放送を行えなくなる、つまり外国人投資家から見れば大量に株を保有しても価値がなくなってしまうので保有する意味がなくなる、という形でテレビ局を守る仕組みだ(実際はもっと複雑な仕組みだが詳細は割愛)。
外資規制によって守られているのは、テレビ局だけではなくテレビ局の経営陣も含まれる。外国人投資家に買収される可能性が低ければ、ある日突然株主が大きく入れ替わって経営陣のクビが挿げ替えられるリスクも他社より低いからだ。
これは他の上場企業の経営者から見れば、「特権」と言っても差し支えがない。こういった優遇措置や報道機関としてメディアを運営することの責任の重さを考えれば、経営陣に強い自制心が求められることは言うまでもない。
現場の指導を徹底する、という発言からはとてもそのような自制心は読み取れず、果たして報道機関の経営者として資質に問題はないのか、ということになる。玉川氏に対してプロの水準に達していない、つまりテレビマンとして資質に欠けると公に明言したのであれば、経営陣は自らの資質にも言及すべきだ。
そして今回のトラブルを見る限り、テレビ朝日のガバナンス崩壊はすでに始まっている。それは「炎上商法」の発想を情報番組に取り入れていることだ。
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