玉川徹氏の電通発言! テレビ朝日の「ガバナンス」は大丈夫なのか専門家のイロメガネ(8/8 ページ)

» 2022年10月18日 08時00分 公開
[中嶋よしふみITmedia]
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玉川徹氏と元フジテレビアナウンサー・長谷川豊氏の共通点

 玉川氏の発言については多数のメディアが報じているが、その中に他局のTVプロデューサーを名乗る人物のコメントがあった。玉川氏は「ギリギリを見極めることがうまい」という指摘だ。

 『「彼はこれまで、『僕は制作側の人間』とか『地雷を知っている』などと語ったことがあります。“電通発言”では地雷を踏んだ格好ですが、普段は“キワキワ”をよく分かっていて、まるでプロレスの如く、悪役を演じきっている。それが数字に結びついているのです」

※玉川徹氏“降板報道”を他局は懐疑的な目で見ている 「プロレスを続けるしかないのでは」 デイリー新潮  2022/10/15』

ttps://www.dailyshincho.jp/article/2022/10151701/

 本人や番組制作者の意図は別にして、玉川氏がこのような手法で発言している、あるいは番組側がこのように発言をさせて視聴率に結びつけていることは指摘にある通りだろう。

 これを一言で表現するなら炎上商法だ。ここで筆者が思い浮かべたのは、元フジテレビのアナウンサー・長谷川豊氏だ。

 長谷川氏はフリーランスになった後に、自身のブログで大炎上して出演番組をすべて降板するトラブルを起こしている(当時長谷川氏のブログは多数のアクセスを集めていた)。

 長谷川氏は16年に「自堕落な生活で人工透析を受けている患者は自己責任だから治療費を全額自己負担にしろ」といった内容をブログで書いたが、タイトルに「殺せ」と過激な言葉を使ったことで大炎上を引き起こし、結果として反発の大きさから出演していた番組をすべて降板することになった。

 筆者は長谷川氏のブログを批判する記事を書いたためこのトラブルをよく覚えているが、批判記事では「長谷川氏はあえて雑に書いた方がちょっと炎上してたくさん読まれてちょうど良い、くらいに考えているフシがあるが、それが番組降板につながった」と指摘した。この指摘はそのまま玉川氏とモーニングショーの両方に当てはまる。

 過激な言動をビジネスにつなげる人物はSNSやYouTubeでもたびたび見かけるが、最後は失敗していつの間にか見かけなくなるケースも多い。炎上をコントロールすることはできないからだ。これまでは玉川氏もギリギリの発言で注目を集め、本人も番組も発言をコントロールできていると思っていたのかもしないが、結局は大きなトラブルに発展した。つまりは起こるべくして起こった、未然に防ぐことも可能だったトラブルということになる。

 長谷川氏のケースは個人ブログで好き勝手に書いて仕事を失ったということで自業自得の一言だが、テレビ番組の場合、コンプライアンスやガバナンスの観点から到底許されない。

 テレビ朝日は今回のトラブルを糧にガバナンスを改善することはできるのか、今後も注目したい。

中嶋よしふみ:

 保険を売らず有料相談を提供するファイナンシャルプランナー。住宅を中心に保険・投資・家計のトータルレッスンを提供。対面で行う共働き夫婦向けのアドバイスを得意とする。「損得よりリスク」が口癖。日経DUAL、東洋経済などで執筆。雑誌、新聞、テレビの取材等も多数。著書に「住宅ローンのしあわせな借り方、返し方(日経BP)」。マネー・ビジネス・経済の専門家が集うメディア、シェアーズカフェ・オンライン編集長も務める。お金より料理が好きな79年生まれ。


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