玉川徹氏の電通発言! テレビ朝日の「ガバナンス」は大丈夫なのか専門家のイロメガネ(1/8 ページ)

» 2022年10月18日 08時00分 公開
[中嶋よしふみITmedia]

 テレビ朝日の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』で放送された、玉川徹氏の発言が注目を浴びている。

 すでに多数のメディアで報じられている通り、安倍元総理の国葬についてテレビ朝日の社員であり、番組コメンテーターの玉川氏が「電通が入っている」と発言した。これが誤報であったとして、訂正・謝罪をしたものの批判は収まらず、現在は10日間の謹慎処分を受けている最中だ。

 10月19日には玉川氏が番組に復帰して今回の発言について改めて説明する予定とされているが、番組を降板するという一部報道とそれを否定するテレビ朝日のコメントも報じられている。

情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』が揺れている(出典:テレビ朝日)

 今後玉川氏の処遇がどうなるかは不明だが、一社員の言動や降板は大した問題ではない。問題は過去にも同様の発言で訂正・謝罪を繰り返している玉川氏を起用し続けた制作陣であり、それを許容してきた経営陣にある。

 いまのところ公式見解として誤報は玉川氏個人の勘違いと説明され、玉川氏と番組責任者の処分も公表されているが経営責任はまったく語られていない。テレビ朝日の前社長は60万円の経費使い込みが発覚して、2022年2月に辞任したばかりだが、今回の誤報は果たしてそれより軽いのか。

 過去には誤報や捏造(ねつぞう)でテレビ局社長の辞任や番組打ち切りに至った例もあり、今回の電通発言は個人の問題発言という小さな話ではなく、テレビ朝日のコンプライアンスとガバナンスが問われる問題である。加えて、玉川氏の電通発言の根っこには「炎上商法」の要素まで含まれている。

 筆者は以前フジテレビの女子アナによるステマ疑惑について言及した際に、責任は女子アナ個人ではなく問題行動を放置した経営陣にある、これは個人のトラブルではなく企業のコンプライアンスとガバナンスの問題だと指摘した。今回の電通発言も全くと言っていいほど同じ構図だ。

 FPとして、そしてWebメディア編集長として、テレビ朝日のコンプライアンスとガバナンスについて言及してみたい。

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