マーケティング・シンカ論

紅茶市場は“マンネリ化”しているのに、なぜ「ミルクとけだすティーバッグ」は売れたのか予想の3倍(2/5 ページ)

» 2022年10月24日 08時28分 公開
[小林香織ITmedia]

発想は単純だが、キャラが秀でたおいしさ

 「ミルクとけだすティーバッグ」の開発が始まったのは、19年ごろだった。三井農林の食品総合研究所内で、「紅茶のティーバッグに粉末タイプのロイヤルミルクティーを混ぜると、さらにおいしくなる」という話が出て、そこから「製品化を検討してみよう」と動き始めた。

 茶葉にクリーミングパウダーを混ぜて、フィルターで包む。「発想自体は単純だが、そのおいしさに驚いた」と竹田氏。

 「モックサンプルを飲んでみると、茶葉の香りとコクが想像とは全然違っていました。現状のラインアップと比較して、明らかにキャラクターが秀でていて、おいしかったんです」(竹田氏)

「アールグレイ」を購入して飲んでみたところ、茶葉のいきいきした香りを感じられた(筆者撮影)

 「過去のデータから、ティーバッグ紅茶の購入者のうち、約60%はストレートで、残り約40%は甘さを加えることが分かっています。後者のうち約50%がミルクティーにしていて、加糖と無糖の割合は1:1です」(竹田氏)

 こういった紅茶の嗜好(しこう)を踏まえると、「おいしい無糖のミルクティー」を家庭で簡単につくりたい人は一定数いるはずだ。ストレート紅茶用ティーバッグと牛乳、あるいはクリーミングパウダーを使えば、おいしいミルクティーはできあがるが、やはりひと手間かかってしまう。

 粉末タイプのインスタントミルクティーは販売されているが、日東紅茶、リプトン、トワイニングの紅茶業界大手をはじめ、その他のブランドでも加糖がスタンダード。無糖ミルクティーの需要や市場の状況を見て、「トライしよう」となったわけだ。

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