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紅茶市場は“マンネリ化”しているのに、なぜ「ミルクとけだすティーバッグ」は売れたのか予想の3倍(5/5 ページ)

» 2022年10月24日 08時28分 公開
[小林香織ITmedia]
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新フレーバー「はちみつ紅茶」も絶好調。次の狙いは?

 このヒットを受け、日東紅茶では、22年8月29日から3つの新フレーバー「はちみつ紅茶」「しょうが紅茶」「ほうじ茶」を発売した。なかでも反響が大きいのは「はちみつ紅茶」で、カテゴリーそのものが市場の新たなトレンドとなっているようだ。

 「当社では、21年8月にストレートタイプの『はちみつ紅茶ティーバッグ』を発売しているのですが、新規性があるためかよく売れています。人気の火付け役は、紅茶専門店『ラクシュミー』さんかもしれません。2年ほど前から同店の『極上はちみつ紅茶』が話題になっているようです」(竹田氏)

トレンドとなりつつある「はちみつ紅茶」は惹きが強いそう。粉末はちみつが使われている

 最初に発売した「オリジナルブレンド」と「アールグレイ」は砂糖不使用にこだわったが、この秋からは「紅茶の楽しい世界を広げてほしい」と、甘さのある「はちみつ紅茶」を投入。さらに、非紅茶領域の商品として、スターバックスのデザートにも起用されている「ほうじ茶」もラインアップに。「さらに種類を増やしていきたい」と竹田氏は期待をにじませた。

 全社的な展望を尋ねると、向かう方向は「新規性」と「健康軸」の2つだという。

 「当社は100年近い歴史があるためか、消費者のイメージ調査では『昔の会社』や『ダサい』などが聞かれます。価格競争が激しいティーバッグ紅茶において、安さをウリにしてきたこともブランドのチープ化につながっています。

 ですが、『ミルクとけだすティーバッグ』のように、差別化したコンセプトや価値を伝えられれば高価格帯の商品も売れる。マンネリ化した紅茶業界で、新しい発見や驚きを提供できる商品を目指します。

 もう一つは、研究所の長年の成果をもとにした健康軸の商品の提供です。健康意識の高まりに応えられるよう、紅茶の健康価値を理化学的にパッケージで体現できる商品の開発にも取り組みます」(竹田氏)

 SNSを見る限りでは「ミルクとけだすティーバッグ」の話題性は、10月中旬現在も続いているようだ。とはいえ、競合が傍観しているわけではない。リプトンではティーバッグ紅茶の新商品として、「リプトン 濃厚ミルクティー用 特別ブレンド アロマアールグレイ」と「リプトン 烏龍ミルクティー用 特別ブレンド ハニーウーロン」を22年9月から発売。自宅で簡単においしいミルクティーをつくれると訴求する。

 紅茶市場のマンネリ化に一石を投じ、ヒットにつなげた「ミルクとけだすティーバッグ」。コンスタントに新フレーバーを発売するなど、束の間のブレイクで終わらせない戦略は、引き続き求められそうだ。

写真提供:日東紅茶

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