イオンの冷食売場で異変 1500品目を陳列して、どうなった?日本最大級の品ぞろえ(3/5 ページ)

» 2022年11月10日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

総菜から「冷食」へ転換。計画費2倍の売り上げに

 なぜイオンがアットフローズンを導入したかというと、直近の冷食カテゴリー売り上げがコロナ禍以前に比べて3割以上も増加している事実があるためだ。

 「冷食の売り上げはコロナ禍以前から右肩上がりでしたが、外出が制限されるようになって、伸びが加速しました。冷凍技術の進化により、冷食がおいしくなってきていることも踏まえ、本格的な参入を決めました」(青木氏)

「スタッフみんなで試食して、おいしさを確かめている」と青木氏

 とはいえ、既存店の冷食売場を大規模に広げるのはスペースの問題で難しい。そこで新業態のアットフローズンとして通常の冷食売場と切り離し、広めの総菜売場とイートインスペースをアットフローズンに転換することにした。

 「コロナ禍以前、『中食』と呼ばれる総菜の伸びが顕著に見られました。そのため、バラエティー豊かな総菜販売とイートインスペースを組み合わせて2017年にスタートしたのですが、コロナ禍でイートインの需要が落ち込んでしまい……。浦安はファミリーから単身、シニアまで幅広い方が住むエリアですし、冷食の需要が高いだろうと考えました」(青木氏)

一部の作業場もなくし、広々とした冷食売場へ生まれ変わった

 時期を同じくして、それまでは冷食をつくらなかった専門レストランが、新たなビジネスチャンスとして冷食に目を向けるように。高性能の業務用フリーザーも小型化し、小さなレストランでも導入しやすいサイズになっていた。

 こういった背景から冷食業界が盛り上がり、日本最高峰の冷凍食品をうたう高価格帯の「Z’s MENU(ジーズメニュー)」や、横浜と仙台にオープンした冷食販売店「T●(Oにマクロン)MIN FROZEN(トーミン・フローズン)」などが話題に。イオンでもアットフローズンの導入にいたった。

リッチな冷食「ジーズメニュー」はアットフローズンでも扱い、人気を得ている

 8月30日にオープンしてから、予想以上に好調だという。

 「夕方にドカンと来客の波があるわけでなく、午前中はシニア層、日中は主婦層、夕方以降はサラリーマンや学生など、コンスタントに来店いただいていますね。従来の冷食売場と比較して、お客さまの年齢層は確実に広いです。ディナー向けメニューとスイーツがよく売れ、アットフローズン全体で計画費の2倍ほどの売り上げとなっています」(青木氏)

 リッチでレアな商品が予想以上に分かりやすく売れている。一方で、従来の冷食売場での主力商品(手ごろな価格の餃子など)は、通常の半分ほどしか売れないそうだ。

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