長らく、ニッポンの高級セダンの代名詞であり続けてきたクラウン。大きな転換点を迎えていることは既に何度かに分けてお伝えしてきた。
その67年の歴史を振り返ると、最も大きなターニングポイントは、1989年に同じトヨタからセルシオがデビューしたことだろう。トヨタは法人向けの別格サルーンとして、センチュリーを持っているのだが、個人向けのクルマとしては、長らくクラウンがフラッグシップを努めてきた。かの有名な「いつかはクラウン」という言葉が日本の自動車文化に及ぼした影響は大きい。
そのトヨタのフラッグシップの座を初めて揺るがしたのが、同じトヨタから登場したセルシオだった。トヨタは後にプレミアムブランドのレクサスを立ち上げ、セルシオはレクサスLSとしてレクサスブランドに組み入れられることで、トヨタ的にはその住み分けを果たす。セルシオはレクサスブランドに移行したので、トヨタのフラッグシップはクラウンという理屈である。
ただし、クラウンというブランドに寄り添って全景を眺めた時に、それが本当に問題解決になり得たのかは少し疑わしい。トヨタの不動のトップが一時的にせよ首位から陥落したことで、その存在意義そのものが揺らいだからだ。この事実は時間を巻き戻して変えることはできないし、そもそもレクサスが本当にトヨタとは別のプレミアムブランドになりきれているかという別角度の問題もある。
「クラウンとは何か?」そういうパーソナルイメージのタガが緩んだ結果、以後、買う人も、売る人も、そして開発する人も、みな一様にそこに迷いが生まれた様に思う。
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