マーケティング・シンカ論

アース製薬、嫌われもの「G目線」投稿で大反響 ファン急増も納得のSNS戦略とは?「G劇場」第2幕へ(2/3 ページ)

» 2022年11月16日 07時20分 公開
[濱川太一ITmedia]

 同社はまず、Instagramアカウント開設に合わせ、フォロワーを獲得するために、フォローした人に抽選で商品の詰め合わせセットを贈るプレゼントキャンペーンを実施。約1000人のフォロワーを獲得した上で、フォロワー数を効果的に増やしていくためのさまざまな仕掛けを展開していった。

 その1つ目が、G目線と悟られないための投稿の順番だ。

フォロワーを増やすための工夫とは?

 6月20日に発信したG劇場の最初の投稿。コーヒーカップの画像とともに「コーヒー飲んでまったりタイム」との投稿文が添えられている。

 一見すると、SNSを担当する“中の人”が自身の日常を投稿しているようにも見える。正体は2本目以降の投稿で次第に明らかになってくる。

 「あたたかくて好きな季節がやってきた〜! なんか最近やることなくて暇だなぁ」(6月22日投稿)

 「友達に呼ばれてちょっとお出かけです! 楽しみだ!」(6月24日)

「G劇場」の最初期の投稿。「コーヒー飲んでまったりタイム」「友達に呼ばれてちょっとお出かけです!」とのコメントが添えられている。この時点ではまだG目線とは気づかれない

 「目的地に到着。めちゃくちゃワクワクする! お邪魔しまーす!」(6月27日)

 「うわー俺好みの場所すぎる、、呼んでくれてありがとう!!」(6月29日)

 稲積さんは「初期のフォロワーの皆さんに『これはもしかしてGじゃない?』という気づきを提供することで、人に伝えたくなるようなコミュニケーションフローができないかと考えました」と振り返る。

 稲積さんは、Instagram内でコミュニケーションを完結させるのではなく、他のSNSにも波及させることを前提に目標設定を進めた。KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)は、話題の拡散効果が大きいTwitter上でどれだけUGC(User Generated Content/ユーザー投稿コンテンツ)を発生させられるかに置いた。

「目的地に到着。お邪魔しまーす!」「うわー俺好みの場所すぎる」――。次第にフォロワーがG目線であることに気付く

 結果的に狙いは的中した。G劇場が終盤にさしかかった8月上旬、Twitterユーザーが同社のInstagram投稿を取り上げ「G目線で天才すぎる」とTwitterに投稿。10万を超える「いいね」が押され、大反響となった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.