Twitterでの大反響が大きな呼び水となり、フォロワー数はうなぎ上りに増加。当初、1年間で2万人の獲得を目標としていたフォロワー数は、半年足らずで3万5千人に達した。
「ストーリーの終盤にさしかかったときにG目線だと分かって新規にフォローしてくれた人が多くいました。本来は嫌われ者のGに『死なないで』と感情移入するフォロワーのコメントが多く、いいコンテンツを提供できたかなと思います」と稲積さんは手応えを語る。
Gの側から見れば、アース製薬は「悪の根源」と稲積さん。悪役に徹したことが奏功し、Gへの感情移入を生み出し、同社のユーモアを好意的に伝えられたと分析する。
このほかにも、Instagram公式アカウントでは、ユーザーの関心をひき、ファンになってもらうための細かな工夫を多数施している。
例えば、投稿の頻度。
投稿の数が多すぎると、ユーザーに飽きられる恐れがある。また、投稿が多すぎると埋もれてしまう可能性もある。このため、投稿頻度は1週間に1〜2本に抑えた。
さらに「1つの投稿につき1つのメッセージ」を鉄則とした。
メーカーとしては「多くの情報を一度に消費者に届けたい」との思いがあるというが、情報量が多すぎると消費者には届かない可能性がある。「メーカーの押し付けになっていないかを冷静に判断することが大事」と稲積さんは話す。
G劇場でもこの点は強く意識したという。G目線で切り取られた画像や動画には、同社製のオーラルケア商品「モンダミン」やキッチン用品「アルコール除菌EX」などの商品が所々に顔を出す。
しかし、G劇場の投稿文ではあえて商品に言及せず、擬人化されたG視点のコメントに徹した。これとは別に、ストーリーが終了した後に、劇中に登場したアイテムを「CAST」として紹介。言わば「伏線回収」のような体裁で「実はこんなところにアース製薬の商品が隠れていたんだよ、と嫌味なく伝えられるように心がけました」と稲積さんは話す。
Instagram公式アカウントでは10月から、G劇場シーズン2「Gの逆襲」を開始した。11月14日の投稿では、Gがアース製薬本社に侵入。コメント欄には「一番行っちゃダメなところ」「討ち入り?」などと、心配や先行きへの期待の声が挙がる。
害虫駆除の「虫ケア用品」市場で国内シェア55.9%を誇り、市場をリードしてきたアース製薬。扱う商品の性質上、画像投稿がメインのSNSとは「相性が悪い」と考えられてきたが、G目線という「逆転の発想」と、戦略的に練られた工夫の数々で、ファンを獲得する新たな道を切り開いた。
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