成功とはいえない。それでも日系アパレルがベトナム市場で戦い続ける理由中国からは撤退(2/6 ページ)

» 2022年11月18日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

出店数を2倍にして見えた「難しさ」

 ストライプインターナショナルが17年に買収したネムグループのアパレルブランド「ネム」は、30〜40代向けのレディースオフィスカジュアルをコンセプトとする。オフィスにマッチするワンピースやブラウス、スカート、パンツ、バッグなどを扱い、現地のメディアでは「フランスにインスパイアされたトレンディなデザイン」「地元で絶大な人気を誇る」と高く評価されている。

ネムは、花柄や刺繍(ししゅう)を施した華やかなデザイン、体のラインが出る細身のスタイルが特徴的
価格帯はワンピースで1万円前後、ブラウスやパンツで4000〜5000円と現地の物価では高価格帯だ

 買収当時の44店舗から現在は87店舗となり、5年ほどで2倍に拡大。マーケットシェアを抑えるため、ベトナムの2大都市ハノイ、ホーチミンを中心に、第3の都市ダナン、発展が進む北部の都市ハイフォン、ハイズオンまで出店を広げた。

ベトナム北部の港町ハイフォンは、高層ビルも建てられ、国内トップクラスの経済成長率だというが……

 数字だけを見れば勢いよく成長しているが、ストライプインターナショナル 専務取締役 兼 ストライプベトナムの張替勉社長は、「店舗を2倍にして現地のリアルが見えた」と話す。

 「急激な経済成長を見越して一気に出店拡大したのですが、現状は成功とは捉えていません。GDP成長率などの経済白書の数値と現状に乖離(かいり)があったのです。ハノイ、ホーチミンを除く3都市は、外資系企業が増えるなど発展しているもののレディースオフィスカジュアルのマーケットは、まだ追いついていません」(張替氏)

 ダナンは近い将来、2大都市に追いつくかもしれないが、ハイフォン、ハイズオンはまだまだ格差が激しく、期待できる市場になるまでに2〜3年はかかるだろうと張替氏は予想している。

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