東京商工リサーチ(東京都千代田区)は、保有する約400万社の経営者情報(個人企業を含む)から、女性社長(病院、生協などの理事長を含む)を抽出し分析した。女性社長の出身大学を調べたところ、最も多かった1位は「日本大学」で458人(前年452人)だった。調査は今回が11回目。
2位は「慶應義塾大学」で376人 (同372人)、3位は「東京女子医科大学」で317人(同314人)、4位は「早稲田大学」で312人 (同300人)、5位は「青山学院大学」で237人(同235人)と続く。上位10位までは前年と変動はなかった。
国公立大学は、8位に「東京大学」(178人)、16位に「広島大学」(130人)、18位に「大阪大学」(121人)、20位に「九州大学」(115人)、24位に「東京医科歯科大学」 (102人)、28位に「千葉大学」(94人)と、旧帝大を中心に5校がランクインした。
医科歯科系では、3位の「東京女子医科大学」のほか、13位に「日本歯科大学」(143人)、24位に「東京医科歯科大学」がランクインした。上位30位以内の女子大は4校(前年5校)に減少した。
22年の全国の女性社長は58万4130人(前年比7.9%増)と、全企業の14.70%を占めている。前回の14.24%から0.46ポイント上昇し、女性社長数は47都道府県の全てで前年を上回った。
女性社長は2010年(21万2153人)からの12年間で2.7倍増と大幅に増加。女性の社会進出を象徴する結果となっている。
産業別では、美容業や飲食業などを含む「サービス業他」が28万3434人(構成比48.5%)と、ほぼ半数を占めた。女性社長率では、「不動産業」が24.48%と、唯一20%台に乗っている。
都道府県別では、1位は「東京都」で15万1314人だった。2位は「大阪府」の5万5987人、3位は「神奈川県」の3万7029人、4位は「愛知県」の3万840人、5位は「福岡県」の2万5358人と、大都市が上位を占めている。
一方で最も少なかったのは「島根県」で1661人、次いで「鳥取県」で2067人、「福井県」で2138人の順だった。
女性社長比率が全国平均14.70%を上回ったのは13都府県で、「沖縄県」が20.62%と唯一20%を超えている。次いで「東京都」が16.76%、「福岡県」が16.34%だった。一方で「新潟県」は9.32%で、3県が10%を割り込んだ。
20年国勢調査の都道府県別人口に基づいた「女性人口10万人当たり」の女性社長数は、 1位が「東京都」で2117人と、唯一の2000人台だった。次いで「沖縄県」が1256人、「大阪府」が1217人、「山梨県」が1033人で、1000人台だった。最も少なかったのは「新潟県」で433人、次いで「山形県」が446人、「秋田県」が456人、「島根県」が479人と、4県が500人を下回った。
大都市圏は人口が多く大きな市場を抱えていることに加え、サービス業のシェアも大きいため、 女性社長が多くなる傾向がうかがえた。反対に、人口減少率が大きく新設法人も少ない地域では女性社長の割合は低く、大都市圏と地方とで格差が生じている現状がある。
東京商工リサーチは、以下のようにコメントした。
「代表者の高齢化が進み、妻や娘などが事業を承継するケースも少なくない。また、自治体などによる創業支援、ESG(環境・社会・企業統治)機運の高まりや、女性活躍推進の取り組みが広がり、女性社長の増加につながっているようだ。女性社長の視点による商品開発や市場開拓などの新たな動きで、アフターコロナに向けた経済活動の活性化への寄与も期待される」
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